当サイトはプロモーションが含まれています

植物の名前・種類・特徴

彼岸花を庭に植えてはいけない理由とは?注意点は縁起・毒性・植え方

彼岸花を庭に植えてはいけない理由とは?注意点は縁起・毒性・植え方
ホリカワ
ホリカワ
住宅ライターのホリカワです。植栽やお庭づくりのポイントを、わかりやすく解説します。

彼岸花ひがんばなほど、植えたい人と植えたくない人が分かれる花もないだろう。彼岸花を生けて飾る人もいれば、親や祖父母から「絶対に触れるな」ときつく言われ、ずっと忌避し続けている人もいる。

実際、彼岸花は「毒性があり危険」とか「不吉で、縁起が悪い」と言われることが多い。家族やペットの安全を考えると、植えるのをためらう方が多いだろう。本当のところ、どうなのだろうか?

本稿では「彼岸花を庭に植えてはいけない」と言われる理由や、その対処法をご紹介する。俗信や毒性にどう向き合えばよいのか悩んでいる方は、ぜひ最後までチェックしていただきたい。

彼岸花(曼珠沙華)を庭に植えてはいけないと言われる理由

彼岸花を庭に植えては生けないと言われる理由

彼岸花はその美しい赤い花が特徴的で、秋の風景を彩る植物だ。しかし、見た目の美しさとは裏腹に、庭に植えることをためらう人が少なくない。

庭に植えることをためらう人が多い背景には「毒性がある」「不吉なイメージや迷信がある」「近隣トラブルになる可能性がある」といった具体的な理由がある。

ここでは、それぞれの理由を掘り下げて、彼岸花を庭に植えることに対する懸念について解説していこう。

毒性がある

彼岸花には毒性があり、昔から害獣対策として利用されてきた。彼岸花を墓地や田んぼのあぜ道に植えることで、モグラやネズミなどによる獣害を防ごうとしたのだ。

ヒガンバナには、有毒成分のアルカロイド(リコリン、ガランタミンなど)が含まれる。全草に毒性があるが、とくに球根(鱗茎)に有毒成分が集中している。

葉がニラに似ていることから、まれに人が誤食するケースもあるようだ。誤って摂取すると、以下のような症状が現れる可能性がある。

  • 悪心
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 頭痛
  • 腹痛
  • 神経麻痺
  • 呼吸困難

彼岸花を観賞用として楽しむ分には問題ないが、誤食には気をつけよう。とくに、小さな子どもやペットがいるご家庭では、誤食しないように配慮が必要だ。

不吉なイメージや迷信がある

彼岸花には、不吉なイメージや多くの迷信が存在する。彼岸花はお寺や墓地の周辺で多く見られるたため、これが「死」や「別れ」を連想させる理由のひとつになっている。

ホリカワ
ホリカワ
「墓を荒らす動物を寄せ付けないため」と言われています。昔は土葬でしたから。

彼岸花は、死者をしのぶ《秋の彼岸》に一斉に個性的な色と姿で咲く。しかも、毒を持つ。その強烈な印象から、不吉な別名を多く持っている。

例をあげてみよう。

  • 墓花
  • 葬式花
  • 死人花
  • 地獄花
  • 幽霊花
  • 火事花
  • テクサレ
  • シタマガリ

彼岸花には、派生により、方言や地方名など1000種以上の呼び名あると言われる。北海道から南西諸島まで広く見られる彼岸花ならでは、と言えるかもしれない。

怖い俗信もある。「彼岸花を摘んで家に持ち帰ると火事になる」「彼岸花を掴むと手が腐る」などだ。

ホリカワ
ホリカワ
一部の不吉な別名や、このような俗信は「子どもを毒性のある彼岸花に触れさせないため」に作られたと考えられます。

「追想、あきらめ、悲しい思い出」など、哀愁を感じる花言葉もある。一方で「情熱、再会、また会う日を楽しみに」と言った前向きな花言葉もある。

お彼岸に死者をしのぶ複雑な心境を表わしているのだろう。

近隣トラブルになる可能性がある

彼岸花を庭に植えることが、近隣トラブルを引き起こすこともある。毒性のある植物としての危険性を知っている隣人が、小さな子どもやペットの安全を心配し、植栽を嫌がるケースがあるからだ。

また、風水や宗教的な価値観から、彼岸花を「縁起が悪い」「死や別れを連想させる」として忌避するケースもある。無理に植えると、近隣の人々に不安を抱かせてしまうかもしれない。

一部の風水の考え方では、毒のある植物は「運気を下げる」とされている。風水を重視する隣人にとっては、彼岸花が庭に植えられていること自体が不快感の原因になることもある。

ホリカワ
ホリカワ
こうしたトラブルを未然に防ぐには、彼岸花を植える前に周囲の人々とコミュニケーションを取り、意見を聞いておくことが大切です。

たとえば、ガーデニングを始める前に「彼岸花を植えても問題ありませんか?」と隣人に相談しておけば、不要な誤解やトラブルを防ぐことができる。

また、植える場所を工夫し、彼岸花が隣人の視界に入らないようにすることもトラブルの回避に有効だろう。

庭作りは、自分だけでなく周囲の人々の心地よさも考慮してこそ、理想の空間を実現できるものである。彼岸花を庭に植える際は、その扱いや植える場所にもじゅうぶん配慮したい。

彼岸花(曼珠沙華)の魅力や、庭に植えるメリット

彼岸花の魅力や、庭に植えるメリット

彼岸花には「不吉」や「縁起が悪い」といったイメージがつきまとう。しかし、それは彼岸花の一面に過ぎない。美しさや育てやすさ、そして実用性など、魅力もたくさん存在するのだ。

彼岸花の魅力やポジティブな側面を知ることで、これまでとは異なる視点でガーデニングを楽しむことができるだろう。彼岸花の魅力や庭に植えるメリットをご紹介する。

独特の美しさで季節感を演出できる

彼岸花は、秋のお彼岸の時期に一斉に開花する。田畑のあぜ道や神社・寺院の参道など、身近な場所で見られる《日本の秋の風物詩》だ。

彼岸花は、まるで《はぜて閃光を放った炎》のような花を咲かせる。この人目を引く鮮やかな赤色が、秋の風景に彩りを添え、季節の変わり目を印象づける。

花の姿も個性的だ。花びらが細く、先端が反り返り、しべ類が飛び出している。

ホリカワ
ホリカワ
花が咲き終わってから葉が出てくるという特徴もあり、開花期の独特の形状を生み出しています。

日本の彼岸花は、種子を作らず球根の分球で増える。クローンが密に群生するため、同じ場所に咲く個体は花の色や大きさ、草丈、開花期がそろうのだ。

群生を遠くから見ると、真っ赤なかがり火のように咲いている様子が幻想的で美しい。彼岸花は、日本の秋の風景に独特の美しさと季節感をもたらす花、と言えるだろう。

ちなみに、白い彼岸花(Lycoris x albiflora Koidz.)もある。近年は、《リコリス》の名前で黄色やピンクなどの園芸品種も販売されている。

ポジティブな花言葉を持っている

彼岸花には、ポジティブな花言葉もある。例をあげてみよう。

  • 情熱
  • 独立
  • 再会
  • また会う日を楽しみに
  • 深い思いやり
  • 陽気

彼岸花には、赤い鮮やかな色から「情熱」という花言葉がある。また、凛とした力強い姿から「独立」という花言葉もある。

開花期が短く毎年お彼岸に咲くことから「再会」、とりわけ白い彼岸花には「また会う日を楽しみに」という花言葉が付けられていて、故人をしのぶ思いが伝わってくる。

黄色やピンクの彼岸花には「深い思いやり」という花言葉もある。黄色の彼岸花の花言葉には「陽気」もあるので、色が持つ快活さが感じ取れる。

これらの花言葉は、彼岸花の美しさや生命力、そして人々の前向きな感情が現われている。不吉なイメージがある一方で、彼岸花には多くのポジティブな印象もあることが分かる。

仏教的な意義を持っている

彼岸花は、仏教とも深く結びついた植物だ。「彼岸」は仏教用語で、人間界やこの世を《此岸 (しがん)》とし、それを超越した極楽浄土を《彼岸》とした。

春分・秋分の日を中日とし、その前後一週間のあいだを「お彼岸」と呼ぶ。祖先をしのび、墓参りや寺院に参詣する期間だ。彼岸花は、この時期に咲くことから名付けられた。

彼岸花は、曼珠沙華とも呼ばれる。蔓殊沙華は「マンジュシャカ」が転じたもの。マンジュシャカは、古代インドのサンスクリット語で「赤い」の意だ。

『法華経』の序品第一に、釈尊が多くの菩薩のために大乗の経を説かれたとき、天は「蔓陀羅華、摩訶曼陀羅華、蔓殊沙華、摩訶蔓殊沙華」の四華を降らせて礼賛した、とある。

このように、彼岸花は日本の仏教文化と深く結びついており、単なる植物以上の宗教的・文化的意義を持っている。

実用的(育てやすく、獣害対策になる)

彼岸花は、実用的な面でも優れた特性を持っている。たとえば、とても丈夫で特別な手入れを必要とせず、ガーデニング初心者でも育てやすい。

暑さや寒さにも強く、分球によって簡単に増やせるため、手軽に庭を美しく彩ることができる。

彼岸花には毒性があり、動物や、動物のエサとなるミミズを寄せ付けないと言われている。彼岸花が密に生えている場所では、イノシシによる掘り返し被害がなかったという研究結果もある。

また、彼岸花にはアレロパシー(植物の成分が他の生物に影響する現象)による雑草抑制効果もある。エサとなる草花がなくなれば、害獣が寄りつきにくくなるだろう。

彼岸花は、適切に管理すれば実用的な植物として活用できる。

知っておきたい彼岸花(曼珠沙華)の植え方・育て方

知っておきたい彼岸花(曼珠沙華)の植え方・育て方

つづいて、彼岸花の植え方や育て方のコツを解説する。彼岸花の縁起が気になる方のために、代わりに植えられる花もご紹介しよう。

彼岸花を植えるのに適した環境

彼岸花を植える際は、彼岸花が自生する環境を意識して、適した条件を整えるとよい。田んぼのあぜ道などでよく見られるように、彼岸花は日当たりがよく、やや湿り気のある土壌を好む。

日照 日当たりのよい場所を好むが、明るい半日陰でも育つ。ただし、西日は避けた方がよい。
土壌 やや湿り気がありつつ、水はけのよい状態を好む。過湿を嫌うので、水はけの悪い場所では高畝にするとよい。

寒冷地では、鉢植えにして、冬場は霜の当たらない場所に移動するとよいだろう。これらの条件を整えることで、彼岸花を健康的に育てることができる。

彼岸花(球根)の植え方と、植える時期

彼岸花は、球根状態のものを6~8月頃に植え付ける。この時期に園芸店などで球根を入手したら、根を乾かさないためにできるだけ早く植えるとよい。

植え付ける場所は、日当たりと風通しのよい場所を選ぼう。土壌の水はけと水持ちのバランスも重要だ。過湿を嫌うので、水はけが悪い場合は高畝にして植えるとよい。

植え付け前に、庭土に腐葉土を2割、堆肥を1割ほど混ぜて耕す。根が深く伸びるように、しっかり耕しておこう。準備の手順をまとめてみよう。

  • 6~8月頃、園芸店などで球根を入手
  • 日当たりと風通しのよい場所を選ぶ
  • 水はけと水持ちのバランスがよい場所を選ぶ
  • 植え付け前に、庭土に腐葉土や堆肥を混ぜて耕す

植え付け深さと植え付け間隔は、以下のとおりだ。

  • 植え付け深さ:目安は約10cm
  • 植え付け間隔:約10~20cm間隔

鉢植えの場合は5~6号鉢(直径約15~18cm)に2~3球が目安だ。

植付けが遅くなると、その年に花が咲かない場合があるので注意したい。植え付け後は、たっぷりと水を与えよう。

彼岸花の育て方(水やり、施肥、植え替え)のコツ

彼岸花の育て方のポイントをご紹介しよう。

水やり 地植えの場合はほとんど不要で、自然の雨水で育つ。鉢植えの場合は、土が乾いたらたっぷりと水をやる。
肥料 元肥として緩効性化成肥料(カリやリン酸が多めの肥料)を土によく混ぜ込む。追肥の必要はない。
害虫 とくに問題となる害虫被害がないため、特別な害虫対策は必要ない。

地植えの彼岸花は、通常なら雨水だけで育つ。しかし、夏の猛暑により土が極度に乾燥した場合は、たっぷり水をやるといいだろう。

追肥もとくに必要ないが、植えっぱなしの場合は、10~11月頃に緩効性化成肥料(カリ、リン酸が多めの肥料)をまくとよい。

増えすぎたり、環境がよくなかったりしたときは、植え替えを検討するとよいだろう。

ホリカワ
ホリカワ
ただし、地上の葉が枯れるまで待つほうがいいでしょう。彼岸花は、開花期の植え替えを嫌います。

植え替える際は、乾燥を避けるため、球根を掘り上げたら手早く植え替えたい。まるでニンニクのように、球根にたくさんの子球ができるので、分球して植え付けよう。

これらのポイントを押さえて育てれば、丈夫で美しい彼岸花を楽しむことができる。

毒性や縁起が気になる方へ!彼岸花の代わりになる花とは

最後に、毒性や縁起が気になる方に向けて、彼岸花の代わりになる花をご紹介しよう。

以下にあげた花は、毒性がなく縁起もよいため、彼岸花の代替として庭や室内に飾るのに適している。また、入手しやすいところもうれしい。

ガーベラ

ガーベラなら、毒性がなく安心だ。色鮮やかなところが彼岸花に似ていて、しかも明るい印象を与える。「希望」や「前進」など、ポジティブな花言葉を持つ点も魅力的だ。

ヒマワリ

ヒマワリも毒性がない。ご存じのとおり大きな花で存在感があり、庭を明るく彩ってくれる。「輝き」や「あなたを幸せにします」など、明るい花言葉を持つ。

胡蝶蘭

胡蝶蘭も毒性がなく、子どもやペットに安全だ。高級感があり、贈り物にしても喜ばれる。「幸福が飛んでくる」など、縁起のよい意味の花言葉を持つ。ただし寒さに弱い。

まとめ:彼岸花(曼珠沙華)を庭に植えてはいけない理由とは

さいごに、本稿のおさらいをしておこう。

彼岸花を庭に植えてはけない?

彼岸花を庭に植えても大丈夫だ。ただし、毒性があるので、お子さまやペットがいるご家庭は注意。「縁起が悪い」と忌避する方がいるので、配慮したい。詳しくはこちらをご覧いただきたい。

彼岸花を庭に植えては生けないと言われる理由

彼岸花の魅力は?

彼岸花は、お彼岸の頃にその独特な美しで一斉に咲くため、秋の風物詩となっている。仏教との関わりも深く、宗教的・文化的意義も持っている。詳しくはこちらをご覧いただきたい。

彼岸花の魅力や、庭に植えるメリット

  • この記事を書いた人
ベランダ園芸家のアルマ

ベランダ園芸家のアルマ

園芸家のアルマ・編集部です。「楽しい倹約生活!」をビジョンに、家計節約に役立つ情報をわかりやすくお伝えして参ります。

-植物の名前・種類・特徴
-,