
シソは、和食に欠かせない食材だ。爽やかな香りと風味で楽しませてくれる。しかも、初心者でもご家庭で簡単に育てられる。しかし「植えてはいけない」と言われているのをご存じだろうか?
じつは、シソは強い繁殖力を持っている。一度庭に植えると、翌年には《こぼれ種》から発芽して、大増殖してしまうことがあるのだ。一部の害虫の食害に遭いやすい点も注意が必要である。
本稿では「シソは植えてはいけない」と言われる理由を詳しく解説する。初心者におすすめの育て方や、混植を避けたいハーブもご紹介しよう。シソ料理がお好きな方は、最後までご覧いただきたい。
シソ(紫蘇、大葉)を庭に植えてはいけないと言われる理由

家庭菜園で人気のシソ(大葉)は、料理に添えるだけで風味が増す便利なハーブだ。その一方で「シソを庭に植えないほうがいい」という意見もある。なぜだろうか?
さっそく、その理由からご紹介しましょう。
- 雑草並みと形容されるほどの強い繁殖力を持っている
- 一部の害虫を引き寄せやすい特性がある
それぞれ、詳しく解説しよう。植えたい方は、対策を検討しておきたい。
雑草並みと形容されるほどの強い繁殖力を持っている
シソを庭に植えてはいけないと言われる理由のひとつに、「雑草扱いされるほどの強い繁殖力を持っているから」というものがある。
一度庭に根付くと、翌年以降の管理が非常に大変になる可能性がある。
非常に旺盛な繁殖力を持つ(こぼれ種)
シソは、秋になると小さな花を咲かせ、たくさんの種を実らせる。この種は非常に小さく、風や雨、鳥などによって庭のあちこちに拡散される。
そして翌春、いろいろな場所から自然に発芽し、気づけば庭がシソジャングルになってしまうこともある。この強い繁殖能力が、しばしば「雑草」扱いされるゆえんである。
他の植物を排除する(アレロパシー)
シソ科の植物は「アレロパシー」と呼ばれる性質を持つものが多いと言われる。
アレロパシーとは
促進と抑制、どちらの影響もあるが、主に他の植物の成長を阻害したり枯らしたりする作用のことを言う場合が多い。
シソもこの性質を持っており、周囲に植えた野菜や草花の成長を妨げる可能性がある。とくに混植をする場合は注意が必要だ。
マメ科やイネ科、キク科と比べると、アレロパシーが穏やかであることを示唆する実験結果もある。
しかし、プランターなどで混植するなら、念のため少し株を離したほうが無難だろう。
こうした理由から「シソは庭に直接植えるのではなく、プランターや鉢での管理がおすすめ」とするアドバイスを多く見かける。
適切に管理すれば問題なく栽培を楽しめる植物だが、その強い生命力を理解しておくことが重要である。
一部の害虫を引き寄せやすい特性がある
シソは、その独特の香りから虫が付きにくいイメージがある。しかし、実際には一部の害虫を引き寄せやすい特性がある。
シソを目当てにやって来た害虫が、周囲の植物にも被害を及ぼすことがあるため、庭や菜園で育てる場合には注意が必要だ。
シソに寄る主な虫
シソは独特の爽やかな香りがあり、虫が付きにくい。しかし、以下のような害虫は、好んでシソを食べに来る。
ハンスモンヨトウ
アブラムシ類
ハダニ類
シソの病虫害については、以下の資料が参考になる。栽培を始める前に、ザッと目を通しておくとよいだろう。
シソに寄ってくる害虫の対策
害虫対策でもっとも大切なのは、発生させない工夫だ。発生してから駆除するより、予防を徹底するほうが管理の手間も減る。
効果的な予防策として、以下のような方法がある。
- 風通しをよくする
- 適切な水やりと葉水をおこなう
- 期発見・早期対策を心がける
植物が密集していると、湿気がこもってアブラムシやハダニが発生しやすくなる。間引きや配置の工夫で、風通しを確保することが重要だ。
また、乾燥しすぎるとハダニが増えやすくなる。土が乾いたらたっぷり水を与え、乾燥しやすい時期は葉の裏にも軽く水をかけて予防するとよい。
こまめにチェックし、小さな虫や卵、葉の変色を見つけたらすぐに対処することも大切だ。見つけた時期が早ければ、以下のような薬剤を使わない方法でもある程度対応可能だ。
- テープで貼って剥がす
- ブラシで優しくこすり落とす
- ピンセットで取り除く
虫の発生がひどくなって「手に負えない」と感じたら、市販の殺虫剤を使ってもよい。
最近は、オーガニック成分のものも多く販売されている。「農薬はちょっと……」という方は、オーガニック系を選ぶと安心だ。

シソ(紫蘇、大葉)の魅力や栽培のメリットとは

シソ栽培には、これまでご紹介したような注意点がある。しかし、それを補って余りある魅力やメリットもある。
ここからは、その代表的なものをご紹介する。
- 料理に使え、爽やかな香りと風味で楽しませてくれる
- 生命力が強く、家庭菜園初心者でも育てやすい
- 他の野菜のコンパニオンプランツとして利用できる
順番に詳しく解説しよう。
料理に使え、爽やかな香りと風味で楽しませてくれる
シソは、和食を始め、幅広い料理を豊かにしてくれる。育てるのが楽しいだけでなく、実用性も兼ね備えた魅力あふれるハーブだ。
独特の香りと風味で、料理のレパートリーが広げてくれる
シソは和食に欠かせない存在で、その独特の風味が最大の特長だ。口に含んだ瞬間に広がる爽やかな香りは、食欲をそそり、料理のアクセントとして大活躍する。
たとえば、以下のような使い方ができる。
- 薬味として冷奴やそうめん、蕎麦、刺身などに添えると、風味が格段にアップする
- 刻んで和え物やサラダに混ぜるだけで、さっぱりとした味わいが楽しめる
- 天ぷらにしたり、肉や魚を巻いて揚げたりすると、香ばしさが加わり、箸が進む
ご家庭にシソが一株あると、収穫期中ならいつでも好きなときに使える。料理の幅が広がり、日々の献立に彩りを与えてくれるだろう。
栄養価が高く、健康効果も期待できる
シソは美味しいだけでなく、栄養面でも非常に優れたハーブだ。とくに「β-カロテン、ビタミンB群、ビタミンC、カルシウム、鉄分」などを豊富に含み、体調管理や美容にも一役買ってくれる。
さらに、シソには殺菌作用や防腐効果もあり、古くから梅干しに利用されてきた。主要な香気成分であるペリルアルデヒドには、抗炎症作用や血管拡張作用、抗うつ作用があることも知られている。
また、主要香気成分であるペリルアルデヒドには、抗炎症作用や血管拡張作用、抗うつ作用なども期待されており、研究も進んでいる。
他にも、シソに期待できる健康効果は枚挙にいとまがない。
- 食欲を増進する効果
- アレルギー症状の軽減効果
- 目の健康に働きかける効果
上述のような効果も報告されており、栄養豊富な万能ハーブとして評価が高い。
生命力が強く、家庭菜園初心者でも育てやすい
シソは生命力がとても強く、家庭菜園初心者にもおすすめの野菜だ。
栽培に特別な知識や道具は不要で、比較的手間がかからないため、初めて育てるハーブとして人気がある。

シソが家庭菜園初心者におすすめな理由
シソが家庭菜園初心者におすすめな理由を、期間・手間・場所の観点からご説明しよう。
期間 | 種まきから収穫までが比較的短期間で、早いものなら1~2か月ほどで収穫できる。すぐに成果が見えるので、栽培のモチベーションを保ちやすいのが魅力。 |
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手間 | 基本的な水やりと、場合によっては追肥程度でよく育つ。神経質になる必要があまりなく、地植えなら「ほぼ放置で栽培できる」という意見もあるほど。 |
場所 | 庭がなくても、ベランダでプランターを使って手軽に栽培できる。限られたスペースでも楽しめるため、マンション住まいの方にも人気がある。 |
詳しくは後述するが、シソはペットボトル等を使った室内水耕栽培も可能だ。園芸をライトに楽しみたい方にとって、嬉しいポイントだろう。
失敗リスクをさらに低くするためのコツ
とはいえ、どんなに育てやすい植物でも、全く失敗しないわけではない。 以下のようなポイントを押さえておくことで、シソ栽培の失敗リスクをさらに低く抑えられるだろう。
増殖 | シソの最大の問題点は繁殖力。これをコントロールすることが重要。プランターで育てれば、根の広がりやこぼれ種を管理しやすくなる。 |
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日照 | シソは明るい場所を好むが、真夏の強すぎる直射日光は葉を硬くしたり、葉焼けを起こしたりする原因になる。半日陰程度の場所が理想的。 |
灌水 | シソは乾燥を嫌うので、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与える。とくに、プランター栽培では水切れを起こしやすいので注意が必要。 |
収穫 | うまく葉を摘み取ることで、株の成長が促され、さらに多くの葉が育つ。花芽を見つけたら早めに摘み取ることで、葉を長く収穫できる。 |
これらのポイントを押さえれば、家庭菜園初心者の方でも、美味しいシソをたくさん収穫できる。その魅力を存分に楽しんで欲しい。
他の野菜のコンパニオンプランツとして利用できる
シソは、周囲の植物に良い影響をもたらす「コンパニオンプランツ」としても活用できる。独特の香りや性質が、自然な害虫対策や環境改善の手助けをしてくれる心強い存在だ。
シソがコンパニオンプランツとして有効な理由
シソの強い香り成分(ペリルアルデヒドなど)が、特定の害虫を遠ざけたり、周りの植物の生育を助けたりする効果があると言われている。
虫は、好みの植物の香りを頼りに寄ってくる。しかし、シソの香りが混ざると、目的の植物を見つけにくくなる ⸺ という仕組みだ。
また、シソの葉がよく茂ることで、地面に影をつくり、土の乾燥を防ぐ《天然のマルチング効果》も期待できる。
シソと相性のよい主な野菜
シソは「ナス科の野菜との相性がよい」と言われる。例をあげてみよう。
ナス | シソの香りがアブラムシなどの害虫を遠ざけ、ナスの健康を守る効果が期待できる。また、葉の影が株元の乾燥を防ぎ、ナスの生育を助ける働きもある。 |
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トマト | トマトもナス科ナス属の植物。シソと一緒に植えることで、互いに害虫を遠ざけ、生育を助け合う。双方の食味もよくなると言われている。 |
ピーマン | ピーマンは、ナス科トウガラシ属の植物。シソはピーマンに寄る害虫を予防できると言われており、一緒に育てることで育ちやすい環境が整う。 |
ただし、コンパニオンプランツ同士であっても、ある程度は株を離して植えたい。
たとえばナスなら、幅60cm以上のプランターにナスとシソを1株ずつ、30cm程度離して植えるのが理想的だ。

なお、シソの苗は複数本をひと株にして売られているものが多い。株分けして植え、元気のよいもの選抜していき、最終的に1~2本にするとよい。
これらの点を踏まえれば、シソはあなたの食卓を彩る強いミカタになってくれるだろう。
初心者でもOK!プランターを使ったシソ(紫蘇、大葉)の育て方

シソは、園芸初心者でも育てやすい植物だ。ただし、繁殖や害虫に気を配る必要がある。
そこでおすすめしたいのが、プランター栽培だ。プランターなら、過剰に繁殖する心配がない。害虫対策も実施しやすい。
シソをプランターで栽培する方法をご紹介しよう。
植えるのに適した環境・用土
シソは、比較的丈夫な植物だ。適した環境と用土を整えることで、より元気に育ち、たくさんの葉を収穫できるようになる。
ここでは、シソのプランター栽培を成功させるための基本条件を紹介する。
日当たり
シソは、日中にしっかり光を浴びることで葉が元気に育ち、香りもよくなる。ただし、直射日光を受け続けると食感が硬くなりやすいので、明るい日陰がよいだろう。
また、真夏の強い日差しは葉焼けの原因になることもあるため、注意が必要だ。夏の午後には日陰になる場所に置く、あるいは遮光ネットで日差しを調整するなど、柔軟に対応したい。
風通し
病害虫を防ぐうえで、風通しのよさは非常に重要。風が通らないと湿気がこもり、ハダニやアブラムシなどの害虫が発生しやすくなる。
プランターを壁にぴったりつけず、少し隙間を空けて置くことで空気の流れを確保したい。
水はけ
シソは乾燥にも過湿にも弱いため、水はけのよい環境づくりが大切。水がたまりつづけないように、排水性のよい用土を使うことで根腐れを防げる。
プランター
プランターは底にしっかり穴が空いているものを選ぶこと。深さ20cm以上あるものが望ましい。複数の株を植える場合は、株間がとれる大きめのプランターを選ぶと、株が競合せず元気に育つ。
素材選びもポイントだ。素焼き鉢は通気性がよく根腐れしにくいが、乾燥しやすい傾向がある。プラスチック鉢は水持ちがよく管理がラクだが、通気性がやや劣る。自分の環境に合わせて選びたい。
用土
シソを健康に育てるには、水はけ・保水性・通気性のバランスが取れた用土が必要だ。これを手軽に実現できるのが、ホームセンターや園芸店で販売されている「野菜用培養土」である。
野菜用培養土は、すでに必要な栄養分がバランスよく配合されている。水はけと水持ちのバランスもよく調整されているため、初心者の方でも安心して使えるだろう。
自分で土をブレンドしたい場合は、以下を目安に配合する。
- 赤玉土 (小粒):5割
- 腐葉土:3割
- バーミキュライトまたはパーライト:2割
この組み合わせで、水はけと保水性を両立した、シソに適した土が完成する。
ご紹介したポイントを押さえて準備を整えれば、初心者でも無理なくシソ栽培を始められる。環境が整っていれば、それに答えるようにシソはグングン育ってくれるだろう。
まずは一鉢から、気軽にチャレンジしてみよう。
プランターに植える適期・植え方
シソは育てやすく、プランター栽培にも向いている。とくに初心者にとっては、プランター栽培の手順を一通り学べる絶好の作物である。
適切な時期に正しい方法で植えれば、香り高いシソをたくさん収穫できるだろう。
シソをプランターに植える適期
シソ栽培を始めるのに適した時期は、春の暖かさが安定してくる4月下旬~6月ごろだ。
種から育てる場合は、4月下旬から5月が目安。発芽には、20~25℃くらいの気温が必要である。苗から育てる場合は、5~6月に定植するのが適期。ちょうど園芸店に健康な苗が並ぶ季節だ。
初心者には、断然《苗》からのスタートがおすすめ。失敗のリスクが低く、すぐに育ち始めるのを実感できるため、モチベーションも保ちやすい。
プランターでの植え方の手順
まずは、必要なものを揃えよう。
その他
園芸用手袋やスコップ、ジョウロなど、必要なものを用意する。
なお、シソには「青シソ」と「赤シソ」がある。また、葉も平滑なものと縮れているものがある。
見栄えや食感は、葉面が縮れている「ちりめんシソ」のほうがよい。葉面が平滑なものは、芳香がよく、出穂が遅い(長く葉を収穫できる)傾向がある。
準備ができたら、以下の手順で植え付けをおこなう。
STEP.1
水はけをよくするため、プランターの底に2~3cmほど鉢底石を敷き詰める。その上に野菜用培養土を入れ、土がしっとりする程度に水をかけておく。
STEP.2
苗をポットから優しく取り出す。この時、根鉢を崩さないように注意する。根が回っている場合は、軽く指でほぐしておくと根付きがよくなる。
STEP.3
苗を配置する。根鉢の上面が、プランターのフチから2~3cmほど下になるように高さを調整する (ウォータースペース)。
STEP.4
苗の高さが決まったら、根鉢の周りの隙間に用土を足していき、上から軽く押し固める。
STEP.5
鉢の底から水が勢いよく流れ出てくるまで、たっぷりと水を与え、根と土を密着させる。
これで、シソのプランター栽培はスタートできる。
あとは日々の水やりと光の管理、そして収穫のタイミングを押さえれば《香り豊かなシソがいつでも手元にある暮らし》を楽しめるだろう。
プランター植えの育て方(水やり・施肥)
シソをプランターで育てる場合、水やりと施肥はとても重要な管理ポイントになる。
正しくお世話をすれば、長く収穫を楽しむことができ、香り豊かで柔らかい葉をたくさん得られるだろう。
水やり(灌水)
シソは乾燥に弱い植物なので、水切れにはとくに注意したい。葉がしおれたり、縁が黄色や茶色に変色したりする場合、水不足が疑われる。
ただし、水や肥料の与えすぎ、あるいは根詰まりでも同様の症状が出る場合があるため、様子を見ながら判断する必要がある。
水やりの目安は、土の表面が乾いてから。指で土を触ってみて「乾いている」と感じたら、プランターの底から水が流れ出るくらい、水をたっぷり与える。

水やりの際は、株元にやさしく与えるのが基本だ。葉に直接水をかけると、葉を傷める原因になる。
また、夏場の乾燥対策として葉の表裏に霧吹きで葉水を与えると、ハダニの予防にもつながるのでおすすめだ。
施肥(肥料)
シソはそれほど肥料を必要としないが、適切な施肥をおこなうと、長く収穫を楽しめる。植え付け前に仕込む《元肥》と、成育中に与える《追肥》に分けてポイントをご紹介しよう。
元肥 | 市販の野菜用培養土は、元から肥料が含まれているものが多く、基本的には追加の肥料は不要。自分で土をブレンドする場合は、堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んでおく。 |
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追肥 | 植え付け後、1か月~1か月半ほどたち、葉の収穫を始めた頃が目安。液体肥料を、10日~2週間に1回程度、水やりの際に一緒に与えると手軽。必ず規定倍率に薄めて使用する。 |
追肥は、ペレット状の有機肥料や粒状の化成肥料を《置き肥》する方法もある。与えすぎると根を傷めるおそれがあるため、用法・用量は商品のパッケージをよく確認しよう。
葉の色が薄くなったり、生育が止まっているように感じたら、肥料不足のサインかもしれない。その際は、肥料の種類や与えるタイミングを見直してみるとよい。
水やりも肥料も、シソの様子を観察しながら調整することが大切だ。葉の色やハリ、土の乾き具合をよく見て判断しよう。
収穫する際のポイント
シソは収穫の仕方しだいで、どんどん新しい葉を出してくれる。
ただ伸びた葉を収穫するだけでなく、適切なタイミングでの摘心や花芽摘みをおこないたい。なぜなら、収穫量と葉の質に影響するからだ。
摘心・収穫のタイミング
摘心とは、茎の先端部分の芽(頂芽)を摘み取ることを指す。摘心は脇芽の成長を促し、枝数が増えて、結果的に葉の収穫増につながる。
摘心のタイミングは、本葉が10枚くらい(茎の節が5つ、草丈20~30cmくらい)になったころだ。清潔なハサミを使うか、指でやさしく摘み取るとよい。
花芽は早めに摘み取る
シソは、一般的に夏から秋にかけて花芽をつける。そのままにしておくと、栄養が種づくりに集中してしまい、葉の成長が止まったり、硬くなったりしてしまう。
これを防擬態場合は、花芽を早めに摘み取ろう。葉の付け根から、花芽のついた茎が伸びてきたら、見つけしだいハサミや指で摘み取ればOKだ。
なお、花芽を摘まずに咲かせることもできる。花穂が開き始めたら収穫し、天ぷらやお刺身のツマに使うと、風味のある薬味としても楽しめる。

ペットボトルを使い室内で水耕栽培できる?
ペットボトルを使い、シソを室内で水耕栽培することも可能だ。シソは生命力が強く、比較的コンパクトに育てられるため、限られたスペースでも挑戦しやすい植物と言える。
ただし、ペットボトルでの水耕栽培にはいくつかの工夫が必要になる。以下にポイントを紹介する。
ペットボトルの加工
栽培容器として使用するペットボトルは、上部をカットして逆さにし、下部に差し込む形にするとよい。こうすることで、上部にシソの苗を植え、下部に水をためる容器ができる。
水耕栽培では光が容器内に差し込むと藻が発生しやすくなる。これを抑制するには、ペットボトルの外側をアルミホイルや遮光シートで覆うとよいだろう。水替えの頻度を減らせる。
水分管理
下部のペットボトルには、水に液体肥料を薄めた培養液を入れる。使用する液体肥料は、必ず植物育成用のものを選び、パッケージの指示どおりの濃度に希釈して使おう。
また水は毎日、あるいは数日に一度は交換し、常に新鮮な状態を保つように心がけることが大切だ。汚れた水や古い培養液は、根腐れや病気の原因になるので注意が必要だ。
害虫対策
室内栽培では大きな虫が来ることは少ないが、ハダニのような小さな害虫が発生する可能性はある。気になる場合は、野菜用の防虫スプレーを活用するとよい。
また、室内は空気が滞りやすい。定期的に換気をおこなうか、小さな扇風機などで空気を循環させることで、病気やカビの発生も抑えられる。
ペットボトルを使ったシソの水耕栽培は、手軽に始められる。さらに、キッチン近くで育てれば、使いたいときにすぐ収穫できるという利便性もある。
個々でご紹介したポイントを踏まえ、ぜひ挑戦してみてほしい。
シソ(紫蘇、大葉)を混植で育てる際のよくある疑問

家庭菜園でシソを育てる際、混植に関して悩む方が少なくない。とくに「青ジソ+赤ジソ」の組み合わせや「シソ+バジル」の組み合わせに関する疑問が多いようだ。
それぞれの組み合わせについて、注意点をご紹介しよう。
青ジソと赤ジソは一緒に植えてはいけない?
青ジソと赤ジソを近くに植えると、互いの花粉が交じり合って「交雑」する可能性がある。そのため、青ジソと赤ジソは一緒に植えないほうがよいとされている。
交雑により、色合いや風味が落ちる
交雑した種から育ったシソは、青ジソと赤ジソの中間的な特徴を持つ「雑種」になることがある。
たとえば、葉の表は緑だが、裏は赤みを帯びた色合いになったり、香りや味が弱くなったりすることがある。
本来の品種の風味や見た目を楽しみたい人にとっては、これは大きなデメリットとなる。
繁殖力がさらに強化される
交雑により生まれた雑種は、生命力がより強くなるケースもある。結果として、管理の手間が増えてしまうかもしれない。
シソはもともとこぼれ種で自然に増えやすい植物だ。強い雑種が増えすぎると、庭やプランター内で雑草化し、他の植物のスペースを圧迫する恐れがあるのだ。
青ジソと赤ジソのそれぞれの特徴を楽しみたい場合は、混植は避けたほうが安心だ。以下のような工夫をするとよい。
- それぞれ別のプランターに分けて育てる
- 距離をとって配置する
- 開花時期がズレるよう、種まきや植え付けのタイミングを調整する
こうした対策を取れば、交雑を避けながら、どちらのシソも美味しく楽しめるだろう。
シソとバジルは一緒に植えてはいけない?
シソもバジルも家庭菜園で人気のハーブだが、一緒に植えるのはおすすめできない。それぞれの成長に悪影響を与える可能性があるため、別々に育てるほうが無難だ。
互いの成長を阻害する可能性がある
シソやバジルは、植物の周囲に他の植物の成長を抑える化学物質(アレロパシー物質)を放出することがある。
一緒に植えることで、これらの物質が相互に作用し合い、どちらかの生育が悪くなる、あるいは両方が弱ってしまう可能性がある。
とくに、限られたスペースで育てるプランター栽培では、この影響が顕著に出やすい。
必要な栽培環境がやや異なる
同じ「シソ科」のシソとバジルだが、栽培環境の好みに違いがある。シソは半日陰でも育ちやすく、湿気を好む。真夏の直射日光にはやや弱く、葉が硬くなることも。
一方、バジルは日当たりや乾燥気味の土を好む。湿気が多すぎると根腐れを起こしやすい。同じプランターで育て、どちらか一方の環境に合わせると、もう一方にストレスがかかりやすくなる。
シソとバジルを育てたい場合は、別々のプランターに分けて管理するのが理想的だ。それぞれに適した土や水やり、日当たりの管理がしやすくなる。
まとめ:シソを植えてはいけないと言われる理由
さいごに、本稿のおさらいをしておこう。
シソを植えてはいけないと言われる理由は?
シソは「雑草並み」と形容されるほどの強い繁殖力を持っている。油断すると、庭がシソジャングルになってしまうので管理が必要だ。詳しくはこちらをご覧いただきたい。
シソの魅力や栽培するメリットは?
シソは和食に欠かせないハーブだ。爽やかな香りと風味で料理の格を上げてくれる。また、ナスやトマトと一緒に植えると、お互いに生育を助け合う。詳しくはこちらをご覧いただきたい。