
ネモフィラを庭に植えて「かわいらしい青い花を咲かせたい」と考えたことがないだろうか?しかし、ネモフィラは「庭に植えてはいけない」と言われることがある。本当なのだろうか?
じつは、ネモフィラはその繁殖力の強さから庭全体を覆い尽くしてしまうことがある。また、海外原産であることから、栽培には外来種問題の理解促進や園芸家の責任ある行動が求められる。
本稿では、ネモフィラを庭に植えてはいけないと言われる理由や対処法を解説する。ネモフィラを安心して楽しみたいガーデニング初心者は、ぜひ最後までチェックして欲しい。

ネモフィラ(瑠璃唐草)を植えてはいけない理由とその対処法

ネモフィラと言えば、インシグニスブルー(瑠璃唐草)を創造する方が多いだろう。あの美しい青い花が咲き乱れる光景は、見る人の心を奪うほどの魅力を持っている。
しかし、その美しさに惹かれて庭に植えてみたものの、思わぬ落とし穴に落ちてしまう方がいる。ネモフィラを庭に植える前に知っておくべき《リスク》とその《対処法》について掘り下げておこう。
繁殖力が強く、こぼれ種を放置すると勝手に増えてしまう
ネモフィラは繁殖力がとても強く、こぼれ種で勝手に増えやすい植物だ。その特性を踏まえて管理することが、ネモフィラを楽しむコツと言える。
ネモフィラはたくさんの花を咲かせ、その花がゴマのような小さな種を大量に付ける。その種が地面に落ちて、そのまま芽吹いて増えていくのが「こぼれ種」だ。
こぼれ種を放置すると、自宅の庭だけでなく、周囲にも拡散してしまう恐れがある。

また、ネモフィラは外来種のため、野生化させるのは望ましくない。在来の植物や生態系に悪影響を及ぼす可能性がある。
自宅の周囲に広げてしまわないように、しっかり以下のような《こぼれ種対策》を実施しておこう。
- 種ができる前の花がら摘みを徹底する
- 花後にできた種を早めに回収する
- 植える範囲を区切るなどして管理する
ネモフィラは、繁殖力の高さを理解したうえで計画的に育てることが大切だ。適切な管理をおこなえば、際限なく増えて、駆除に苦労するようなことにはならないだろう。
根が広がりやすく、他の植物の生育スペースを奪う
ネモフィラの根は広範囲に広がりやすく、他の植物の生育スペースを奪ってしまう可能性がある。狭い庭で育てる場合や、他の植物との共存を考えている場合は、注意が必要だ。
ネモフィラの根の広がりをコントロールし、他の植物への影響を最小限に抑えるには、どうすればいいのだろうか?—— いくつかの対策があるので、ご紹介しよう。
植える範囲を区切る
ネモフィラを植える範囲をあらかじめ区切っておくことで、根の広がりを制限できる。
たとえば、レンガや石などで植える場所の境界をつくる、地中に板を差し込んで根止めする、ネモフィラ用のプランターや鉢を用意する、などの方法が考えられる。
定期的に間引きする
ネモフィラを定期的に間引きすることで、過剰な広がりを防ぐことができる。
密集しすぎた株も間引いて、株間を確保しよう。貴重な養分を、他の植物に回すことができる。風通しがよくなり、害虫も防ぎやすくなるだろう。
プランターで栽培する
ネモフィラはプランター栽培に向いており、30cmくらいのプランターなら、2~3株育てられる。株間を10~20cm程度離して植えるのがおすすめだ。
プランター栽培なら、こぼれ種に気をつければ、周囲に広がることもないだろう。
育てやすいが、失敗もしやすい
ネモフィラは比較的育てやすい植物だが、いくつかの点に注意しないと失敗しやすい面もある。
ネモフィラの注意点をご紹介しよう。
- 過湿や長雨に弱い
- 病害虫が発生しやすい
- 暑さに弱い
ネモフィラは、過湿状態が続くと根腐れを起こしやすくなる。昨今、異常気象で豪雨が増えているので、注意が必要だ。適度に水はけのよい土壌に植えよう。
また、ネモフィラは過湿状態下では灰色かび病になりやすい。暖かくなると、アブラムシが発生しやすくなる。風通しのよい場所に植えるなど、病害虫の対策にも気を配りたい。
ネモフィラは比較的寒さに強い植物だが、暑さには弱い。冷涼な場所を選ばないと、開花の期間を縮めてしまうだろう。

ネモフィラ(瑠璃唐草)の魅力と、庭に植えるメリット

つづいて、ネモフィラの魅力や、庭に植えることで得られるメリットをご紹介しよう。ご覧いただくと、ネモフィラの《人気の理由》が分かるはずだ。
園芸の初心者でも育てやすい
ネモフィラは園芸初心者でも比較的育てやすい植物だ。ネモフィラを育てるのに、専門的な園芸の知識は必要ない。基本的な世話の仕方を押さえれば、大丈夫である。
ネモフィラは、寒さに強い植物だ。そのため、冬の寒さで枯れてしまうリスクも低い。暖かい地域では、霜よけせずに越冬できる (霜が厚い地域では不織布などの霜よけが必要)。
また、ネモフィラは乾燥にも強い。水やりは、植えてから根付くまでおこなうとよい。その後は、ひどい乾燥が続く場合をのぞき、雨だけで育つ。

青い花色が美しく、花じゅうたんを楽しめる
ネモフィラの最大の魅力は、なんと言っても鮮やかな青い花色だろう。広範囲にネモフィラを咲かせると、まるで青い絨毯を敷き詰めたような圧巻の景色が広がる。
ネモフィラと空や海とのブルー・コラボレーションも、多くの人を魅了する。都市部などにお住まいで、広い庭がない方は、茨城県の国営ひたち海浜公園を訪れてほしい。絶景を楽しめる。
国営昭和記念公園(東京都立川市)や長井海の手公園ソレイユの丘(神奈川県横須賀市)のネモフィラ園も、絶景スポットとして有名だ。
ネモフィラのひとつひとつの花は小さいが、群生がつくる景色は圧巻だ。青い花の絨毯を楽しみたい方は、ネモフィラを植えてみてはいかがだろうか?
毎年、爽やかな春の訪れを感じられる
ネモフィラは春の花で、3月~5月に開花する (寒冷地は7月頃まで)。だから、ネモフィラを庭に植えると、毎年春の訪れを感じながら爽やかな景色を楽しむことができる。
パステルブルーの花色も、春らしい。桜と春の空のコラボレーションもステキだが、ネモフィラと春の空のコラボレーションも心躍るものがある。

ネモフィラ(瑠璃唐草)の植え方・育て方

つづいて、ネモフィラの植え方や育て方をご紹介しよう。ちょっとしたコツを知っておくことで、園芸初心者でも格段に失敗リスクを減らせるだろう。
ネモフィラを植えるのに適した環境
ネモフィラを植えるのに適した環境は、以下のとおりだ。
- 冷涼な気候
- 日当たりと風通しの良い場所
- 水はけの良い土壌
ネモフィラは寒さに比較的強く、冷涼な気候を好む。生育適温は5~20℃くらいで、暑さにはあまり強くない。気温が高くなる6月頃には、枯れてしまう。
ネモフィラは日光を好む植物なので、日当たりのよい場所に植えるのが理想的だ。風通しのよい場所だと、蒸れを防ぎ、病害虫の発生を抑えられる。
ネモフィラは過湿に弱いため、水はけのよい土壌を好む。庭植えの場合は、腐葉土やバーミキュライトを混ぜて排水性を高めたい。

ネモフィラの植え方と植える際の注意点
ネモフィラを植え方と、注意点をご紹介しよう。
植え方(温暖地・暖地)
種まきに適した時期は、初秋の9月から10月ごろだ。種を薄く土で覆い、直射日光が当たらないようにする。株間が10cm以上になるように、必要に応じて間引きをしよう。
冬の間は、育苗期間だ。寒冷地でなければ、外で越冬できる。育苗用のポットや鉢で育てている場合は、春彼岸のころに定植しよう。複数の苗を植える場合は、株間を10~20cm程度取るとよい。
注意点
ネモフィラは直根性の植物で、移植を嫌う。移植する場合は、根を傷めないように注意しよう。根が傷むと成長が悪くなる。
適切な株間(10~20cm)を取ることも大切だ。幼苗のうちから密植すると、成長後に窮屈になり、蒸れや病害虫の原因になる。

投棄に厚い霜ができる地域は、霜対策をすること。霜柱などで苗が浮き上がらないよう、霜よけやマルチングが有効だ。
これらの点に気をつけて丁寧に植え付けることで、ネモフィラを健康に育てることができる。
初心者でもできる!増えすぎを抑える育て方のコツ
ネモフィラは、初心者でも育てやすい植物だ。しかし、繁殖力が強いため増えすぎに注意したい。
初心者でもできる、増えすぎを抑える育て方のコツを3つご紹介しよう。
- こぼれ種対策をする
- 植える範囲を区切る
- 定期的に間引きをする
それぞれ、もう少し補足説明をしておく。
こぼれ種対策をする
ネモフィラは種が小さく風に飛ばされやすいため、こぼれ種で勝手に増えてしまう。
対策としては、種ができる前の花がら摘みを徹底したり、花後にできた種を早めに回収したりすることが考えられる。
植える範囲を区切る
ネモフィラの根は、広がりやすい。、植える範囲をあらかじめ区切っておくことで根の広がりを制限できる。
レンガや石などで植える場所の境界をつくり、地中に板等を差し込んで根止めをしよう。プランターや鉢で育てるのも、よいだろう。
定期的に間引きをする
密集しすぎた株や範囲を超えて生えてきた株は、間引きしよう。過剰な広がりを防げるだけでなく、残した株に養分を回せる。害虫も付きにくくなる。
ポイントを理解して適切に管理すれば、初心者でも楽しくネモフィラを育てられるだろう。
ネモフィラの徒長を防ぐには?
ネモフィラは、徒長しやすい植物だ。
徒長とは、茎や枝が異常に長く伸びてしまう現象のこと。ネモフィラが徒長すると、以下のような問題が起こる。
- 倒れやすくなる
- 光合成の効率が下がる
- 病弱・虚弱になる
- 暑さや寒さへの抵抗力が低下する
- 病害虫に侵されやすくなる
では、どうすればネモフィラの徒長を防げるのか?—— 確実な方法はないが、以下の方法である程度防げる。
- 適切な日照を確保する
- 肥料を控えめにする
- 過保護に育てない
ネモフィラに限らず、植物は日照不足だと徒長しやすくなる。だから、できるだけ日当たりの良い場所で育てることで徒長する可能性を下がられる。
肥料は、控えめにしたい。肥料の与えすぎは、徒長の原因になる。庭植えの場合は、ほとんど必要ないだろう。鉢植えの場合は、様子を見ながら適宜、液肥を与える程度でよい。
また、暖かい室内で過保護に育てると苗が徒長しやすい。暖地では、戸外で楽に越冬できる。日照や風通しを確保して、美しい花を楽しもう。

ネモフィラはプランター栽培OK?何株が最適?
ネモフィラは、プランター栽培に適している。根が広がりやすいため、プランターの中でもじゅうぶんに成長できる。プランターなら、季節に応じて移動させやすい。
プランターで育てる際のポイントは、以下のとおりだ。
- 水はけのよい用土を使う
- 日当たりと風通しのよい場所で管理する
- 株間は、10~20cm程度開ける
プランターの場合、水はけのよい用土を使うことで根腐れを防ぎたい。さらに、日当たりと風通しのよい場所で管理するとよいだろう。
株間は、10~20cm程度開けるのがおすすめだ。30cm程度のプランターなら2~3株が目安となる。あまり密植しすぎると蒸れや病害虫の原因になるので、注意したい。
あなたに合った方法でネモフィラを育て、春にはぜひパステルブルーの可憐な花を咲かせてほしい。

まとめ:なぜ、ネモフィラ(瑠璃唐草)を植えてはいけないのか
さいごに、本稿のおさらいをしておこう。
ネモフィラを庭に植えてはいけない?
ネモフィラは、庭に植えても大丈夫だ。ただし、繁殖力が強いので、こぼれ種や根の広がりに注意する必要がある。暑さや過湿にも弱いので、うまく管理しよう。詳しくはこちらをご覧いただきたい。
ネモフィラの魅力は?
ネモフィラの魅力は、なんと言ってもインシグニスブルーの可憐な青い花だろう。春の訪れを、爽やかな花色で告げてくれる。初心者でも育てやすい点も魅力だ。詳しくはこちらをご覧いただきたい。