
豆苗は、一度使ったあとも再生できるからお得だ。再生栽培を楽しんだあと「土に植えたらもっと育つかも?」と感じた方が多いはず。しかし「庭に植えてはいけない」と言われることもある。
豆苗を土に植えると、再生栽培の何倍もの手間がかかる。病虫害や鳥獣による食害の対策も必要だ。枯れるリスクも高まる。失敗して「せっかく道具をそろえたのに」となりがちなのだ。
本稿では「豆苗を庭に植えてはいけない」と言われる理由について解説する。安心して豆苗のリボベジを楽しむ方法もご紹介するので、栽培してみたい方はぜひ最後までチェックしていただきたい。
豆苗を庭に植えてはいけないと言われる理由

さっそく「豆苗を庭に植えてはいけない」と言われる理由をご紹介しよう。
- 再生栽培(水耕栽培)より管理の手間がかかる
- 病虫害や鳥獣による食害のリスクが増加する
- 栄養状態の悪化や環境変化のストレスで枯れる恐れがある
それぞれ、詳しく解説する。
再生栽培(水耕栽培)より管理の手間がかかる
豆苗を庭に植えて育てる場合、スーパーなどで販売されている豆苗を再生栽培(リボベジ、水耕栽培)するよりも、管理の手間がかかる。途中でギブアップする方が出てくるだろう。
再生栽培と庭植えの手間の違いを比較してみよう。
再生栽培(リボベジ、水耕栽培)の手間
水の交換 | 根が腐らないように、基本的に毎日水を交換する必要がある。 |
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日照管理 | 室内での栽培になるため、適切な日当たりの場所に置く必要がある。 |
容器洗浄 | 容器の汚れやカビの発生を防ぐために、定期的な洗浄が必要。 |
庭植え(地植え)の手間
土壌管理 | 豆苗に適した土壌(水はけや保肥性など)を準備する必要がある。必要に応じて肥料をあげる作業も発生する。 |
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雑草対策 | 庭には雑草が生えてくるため、定期的な除草作業が必要。プランター栽培なら、この作業は多少軽減できる。 |
病虫害対策 | 屋外ではアブラムシなどの害虫や、病気が発生するリスクが高まる。駆除や薬剤散布など、状況に応じた対策が必要になる。 |
水やり | 天候に左右されるため、水やりの頻度や量の調整がよりシビアになる。使う土によっても変わる。 |
豆苗の再生栽培は、「水の交換」というシンプルな管理が中心になる。
一方、庭植えの場合は土づくりから始まり、雑草・害虫・病気・天候などのより多くの要素を考慮し、対応しなければならない。その代わり、庭植えには以下のようなメリットがある。
- 収穫量の増加
- 自然の中で育てる楽しみがある
よって、手間をどの程度許容できるか、そして何を重視したいかを考慮して、どちらの方法を選ぶか判断する必要がある。

病虫害や鳥獣による食害のリスクが増加する
豆苗を庭に植えると、室内などでおこなう再生栽培に比べて《病虫害》や《鳥獣による食害》のリスクが格段に増加する。
清潔な室内は、屋外に比べて、病虫害を引き起こすような菌や虫が少ないだろう。鳥獣による食害リスクに至っては、ほぼない。
病害虫のリスク
一方、屋外にはさまざまな虫や病原菌が飛来していたり、土壌中に潜んでいたりする可能性がある。
エンドウに発生しやすい害虫の例をあげてみよう。
- ハダニ
- アブラムシ
- ヨトウムシ
- アザミウマ
- ナモグリバエ
- ウラナミシジミ
屋外では、湿度や温度条件によって以下の病気も発生しやすくなる。
- 褐斑病
- 褐紋病
- さび病
- 立枯病
- 根腐病
- うどんこ病
- モザイク病
- 灰色かび病
庭に他の植物が植わっている場合、そこから病気や害虫が移ってくる可能性もある。
鳥獣による食害のリスク
ハトやスズメ、ヒヨドリなどの鳥は、柔らかい豆苗の葉や新芽を好んで食べることがある。ネズミや、地域によってはハクビシン、タヌキなどの小動物も豆苗を食べる可能性がある。
また、ナメクジやカタツムリなどに葉を食害されるケースもある。屋外で豆苗を育てる場合は、これらのリスクを考慮し、以下のような対策が必要になる。
病害虫対策 | 鳥獣害対策 |
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これらの対策にも、手間やコストがかかる。そして、ガーデニング初心者ほど病虫害や鳥獣の食害を甘く見やすい。
屋外で育てるなら、ほぼこれらのリスクと戦うことになるだろう。手軽さを重視する場合は、室内での再生栽培が有利だ。

栄養状態の悪化や環境変化のストレスで枯れる恐れがある
スーパーで購入した豆苗を庭に植え替える場合、で栄養状態が悪化したり、環境変化によるストレスを受けたりして枯れてしまうことがある。
栄養状態の悪化によるリスク
スーパーで売られている水耕栽培の豆苗にとって、庭に植えられることは、野生化を強要され「たくましく生きろよ」と言われるようなものだ。枯死するものが現われても、不思議ではない。
以下の土壌には、とくに注意したい。
- 栄養不足
- 栄養過多
- 不適切なpH(ペーハー)
- 水はけが悪い
- 通気性が悪い
栄養分が不足している土壌に植えると、大抵は徐々に弱って枯れてしまう。逆に、肥料過多の土壌でも、根が傷んでしまい栄養を吸収できなくなることがある (肥料ヤケ)。
土壌のpH(酸性・アルカリ性の指標)が適切でない場合、栄養素を吸収しにくくなり、栄養不足に陥ることがある。水はけや通気性が悪い土壌では、根が呼吸できず、栄養吸収も阻害される。

水耕栽培では、根が直接水と液体肥料に触れているため、効率よく栄養を吸収できる。
一方、土壌に植え替えると、根が土の中から水分と養分を探し出して吸収する ⸺ という働きに変わる。そのため、すぐには順応できず、水分や栄養の不足に陥りやすい。
とくに、土壌にしっかりと根が張るまでは、水切れに注意したい。
環境変化のストレスによるリスク
水耕栽培の豆苗を庭に植えると、急激な環境変化に適応できず、ストレスから枯れてしまうことがある。たとえば、以下のような環境の変化に留意したい。
光の強さ | いきなり庭の直射日光に当てると、葉が日焼けしてしまったり、急激な水分蒸散に対応できずに枯れてしまう。 |
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温度変化 | 室内と屋外では、温度変化の幅が大きく異なる。とくに、急な温度変化は豆苗にとって大きなストレスとなる。 |
湿度変化 | 屋外は室内よりも湿度が低く、乾燥しやすい傾向がある。葉からの水分蒸散が進み、水切れを起こしやすくなる。 |
風の影響 | 屋外では風にさらされるため、葉が傷んだり、乾燥が進んだりする。 |
豆苗を庭に植え替えるなら、可能な限り上述のストレスを減らしたい。
たとえば、いったんポリポットに植えて半日陰などに置き、たっぷり水をやりながら根を張らせ、徐々に環境に慣らしていくと失敗リスクを減らせるだろう。
ただし、水をやりすぎると根が酸素不足になり《根腐れ》を起こす。とくに梅雨の時期など、雨が続く場合は注意が必要だ。
移植時のストレスによるリスク
植え替えの際に根が傷つくと、水分や養分の吸収能力が低下し、枯れる原因になる。とくに水耕栽培で育った繊細な根は、土壌への植え付け時にダメージを受けやすいので注意したい。
豆苗が新しい土壌環境になじんでしっかりと根を張り、水分や養分を吸収できるようになるまでには時間がかかる。この期間に環境ストレスが重なると、枯れてしまうリスクが高まる。
庭植えに挑戦する場合は、これらのリスクを理解し、豆苗が新しい環境に順応できるよう丁寧にケアしてあげることが大切だ。
豆苗栽培の魅力は?土に植えるメリットも解説

豆苗の庭植えは、なかなかハードな試みかもしれない。しかし、それを補って余りある魅力もたくさんある。
再生栽培(リボベジ)も含め、主なメリットを3つご紹介しよう。
- 手軽かつ短期間で再生栽培(リボベジ)できる
- 苗要らずで栽培やミニ菜園づくりを楽しめる
- サヤエンドウ・グリーンピース・エンドウ豆に成長する
順番に詳しく解説する。
手軽かつ短期間で再生栽培(リボベジ)できる
豆苗を庭に植える際、まずは再生栽培から始める方が多いだろう。
再生栽培の大きな魅力は、《手軽さ》と《短期間で再収穫できる》点にある。スーパーなどで購入した豆苗の根元部分を使った再生栽培は、キッチンガーデニング初心者におすすめだ。
圧倒的に手軽
豆苗の再生栽培に、特別な道具は不要だ。深さのあるお皿やタッパーなどの容器と水さえあれば、すぐに始められる。専用の栽培キットなども必要ない。
土を使わずに栽培できる点も見逃せない。虫が湧いたり、土で汚れたりする心配が少なく、キッチンなどでも気軽に育てられる。
管理もシンプルで、難しい知識や技術は要らない。毎日1~2回、水の交換と容器の洗浄をするだけでいい。
驚きの短期間で収穫可能
豆苗は成長が非常に早く、条件が良ければ1週間から10日ほどで再び食べられる長さに育つ。日々ぐんぐん伸びていく様子を観察できるのは、楽しいものだ。
小学生くらいのお子さまのいるご家庭なら、食育素材としても好適だろう。結果が出るまで長期間待つ必要がないため、手軽に達成感を味わえる。
経済的でお得
一度購入した豆苗で1~2回再収穫できるため、食費の節約にもなる。サヤエンドウやグリーピースの収穫に成功できたら、さらにお得感が増すだろう。

手軽さと短期間での再生という点では、豆苗はリボベジ(リボーンベジタブル)素材の中でもとくに優れた野菜と言えるだろう。
庭で栽培する前に、まずはこの手軽な再生栽培から豆苗の魅力を体験してみてはいかがだろうか。
苗要らずで栽培やミニ菜園づくりを楽しめる
豆苗は、苗要らずで手軽に栽培を始められ、ミニ菜園づくりを楽しめる非常に魅力的な野菜だ。スーパーで購入した豆苗を活用すれば、新たに苗を購入する手間やコストを省ける。
豆苗を料理に使う際、脇芽を残しておこう。再生栽培である程度脇芽を伸ばしたら、プランターや庭の小さなスペースに植え替えることで、ミニ菜園を始めることができる。
本格的な栽培体験を楽しもう
ミニ菜園から学べることは多い。土に触れ、豆苗が大地に根を張って成長する様子を、間近で観察してみよう。
太陽の光を浴び、風を感じながら、植物の生命力をより身近に感じてみよう。水耕栽培とは異なる、自然に近い環境での生育過程を楽しもう。
失敗して、落ち込むこともあるだろう。そのときは、なぜそうなったのか考えてみよう。
水をあげすぎた?土がよくなかった?虫に食われた?⸺ 失敗から学んだことを生かし、再チャレンジしてみよう。きっと、ワクワクするはずだ。
自分で育てたエンドウの収穫を楽しもう
詳しくは後述するが、豆苗はエンドウになる。うまく育てば、たくさんのサヤエンドウやグリーンピースを収穫できるだろう。
また、豆苗は比較的育てやすいため、本格的な家庭菜園を始める前の練習素材としてもピッタリだ。他の植物や野菜と一緒に植えてもいい。
たとえば、ビオラのように耐寒性があり地を覆う植物を混植すれば、マルチングの代わりになる。見た目にも楽しい菜園になるだろう。
サヤエンドウ ⇒ グリーンピース ⇒ エンドウ豆に成長する
豆苗を土に植える最大の魅力は、多様な収穫方法にある。
豆苗は成長が進むとキヌサヤやスナップエンドウなどのサヤエンドウになり、グリーンピース(実エンドウ)を経て、熟成が進むとエンドウ豆になる。
つまり、豆苗はエンドウのスプラウト(新芽)なのだ。どのタイミングで収穫するかは、あなたしだいである。
豆苗の成長過程
豆苗の成長過程をまとめておこう。
豆苗
エンドウの若い芽 (スプラウト)。葉と茎が食べられる。
開花
やがて白や赤紫のかわいらしい花が咲く。
サヤエンドウ
花が咲き終わったあとにできる、若いサヤ。サヤごと食べられる。
実エンドウ
丸く膨らんだ豆を収穫すれば「グリーンピース」になる。
エンドウ豆
収穫せずに完熟させて乾燥させれば、保存用のエンドウ豆になる。
豆苗を土に植える魅力のひとつが、この《成長過程を丸ごと楽しむ体験》である。食材として買った豆苗が、ぐんぐんツルを伸ばし、花を咲かせ、実を結ぶ ⸺ それを間近で観察できるのだ。
収穫バリエーションの豊かさも見逃せない。「若いサヤを収穫したからお味噌汁に入れよう」「グリーンピースにして豆ごはんにしよう」といった多様な味わい方を楽しめる。
手間ひまをかけてグリーンピースの収穫までたどり着いたときの達成感は、格別だろう。植物を育てる喜びを深く深く実感できる。
サヤエンドウ・実エンドウの収穫に挑戦する際の注意点
この壮大な栽培物語を始める前に、ふたつほど心得ておきたいポイントがある。
- 豆苗は《豆苗専用》の品種が多い
- サヤエンドウ・実エンドウを収穫するには高度な管理が必要
じつは、スーパーで売られている豆苗は《豆苗専用》の品種が多い。葉や茎を効率よく収穫できて、おいしく食べられるように品種改良されている。
また、サヤエンドウや実エンドウにも専用の品種がある。そのため「豆苗からうまく育てられない」、あるいは「市販のキヌサヤやグリーンピースよりおいしくなかった」と感じるかもしれない。

また、サヤエンドウや実エンドウを収穫するには、再生栽培(水耕)よりも高度な管理が必要になる。挑戦するなら、結果が出るまで続ける覚悟が必要である。
必ずしも成功するとは限らない。しかし、豆苗の生命力を信じて、ぜひ体験してみて欲しい。うまくいけば、食卓が豊かになるだけでなく、大きな感動を得られるはずだ。
豆苗を土に植えることは、手軽なリボベジから一歩踏み込んだ素晴らしい挑戦だ。本格的な家庭菜園の楽しさを味わおう。
豆苗を土に植え、エンドウを育てる方法(プランター)

最後に、豆苗をプランターに植えて、エンドウを栽培する方法をご紹介する。
「挑戦してみたい!」と思った方は、引き続きご覧いただきたい。
水耕・再生栽培とプランター栽培の違い(使い分け)
水耕・再生栽培とプランター栽培は、この計画において「どちらかを選ぶ」という関係ではない。連携させておこなう「2ステップの栽培法」と捉えてほしい。
両栽培の違いを表にしてみよう。
項目 | 水耕・再生栽培 | プランター栽培 |
---|---|---|
目的 | 再生栽培(リボベジ)と育苗 | 苗を大きく育て、エンドウ豆を収穫する |
場所 | キッチンなどの室内 | ベランダなどの屋外 |
期間 | 約1~2週間 | 約2~3か月 |
主な作業 | 毎日の水替え | 水やり、追肥、支柱立て、病害虫管理 |
必需品 | 容器、水 | プランター、土、支柱、肥料 |
ポイント | 根腐れさせないように、水の管理を徹底する | 水・肥料・日光を適切に与え、ツルを誘引する |
それぞれの役割と使い分けを、具体的なステップでご説明しよう。
ステップ1:水耕・再生栽培(リボベジ)
この段階の目的は、豆苗を再生栽培して、2度目の収穫を楽しむことだ。
豆苗の再生栽培は2回程度可能だが、2回目は一部を食べずに残しておき、苗として利用する。
再生栽培を成功させるためのポイントをご紹介しよう。
- スーパーで元気そうな豆苗を買う
- 脇芽の上でカットして食用にする
- 脇芽から下の部分を容器に入れる
- 豆が浸らない程度に容器に水を入れる
- 窓際など、明るい室内に置く
- 毎日1~2回、新鮮な水に交換する
もっとも重要なのは「脇芽の上でカット」すること。その脇芽が成長して、再び可食部分となる。
また「毎日1~2回、新鮮な水に交換する」ことも大切だ。時に夏場はこれを守らないと、根や豆、水を腐らせてしまう。
しっかりポイントを押さえれば、約1~2週間程度で豆苗を再収穫できるだろう。
ステップ2:プランター栽培(本格栽培・収穫段階)
この段階の目的は、豆苗を土に植え、花を咲かせ、サヤエンドウやグリーンピースを収穫することだ。ここからが本格栽培となる。植え方や育て方の詳細は後述しよう。
このステップの成功確率を上げるには、最適な時期に植え付けることが重要だ。成長期が真夏や真冬にあたってしまうと、失敗しやすい。
楽しむ気持ちも大切だ。「必ず収穫しなければ」と気負わず、「どこまで育つかな?」と実験のような気持ちで楽しむとよいだろう。

土に植える時期はいつがいいか
豆類は全般的に寒さに強い。エンドウも、冷涼な気候を好む植物だ。一方、夏の暑さが苦手である。
発芽や生育に適しているのは15~20度くらいの時期で、5度以下や25度以上になると生育が鈍る。よって、豆苗を土に植えるのに適した時期は、気候が穏やかな晩秋、または早春だ。
なおエンドウの作型は、秋にタネをまき、越冬して春に収穫するスタイルが一般的だ。タネから育てる方には、秋まき栽培をおすすめする。
秋(9月下旬~11月上旬頃)
厳しい残暑が和らぎ、過ごしやすくなった秋に豆苗を定植すると、冬の寒さが来る前に根をしっかり張ってくれる。
株はゆっくり成長し、冬を越して、翌年の春(4~5月頃)に収穫できるだろう。越冬に備えて、霜よけ・防寒対策になる植物を混植しておくとよいだろう。
たとえば、こんな植物だ。
- ビオラ
- ネメシア
- イベリス
- スイートアリッサム
一方、12月になると寒さで根が張らず、苗が枯れてしまう恐れがある。12月以降の定植は避けたい。
春(3~4月頃)
春に定植すると、豆苗は暖かくなる季節に向かってぐんぐん成長してくれる。真夏が来る前の、6月頃に収穫を目指さすといいだろう。
一方6月を過ぎると、梅雨の多湿や夏の高温で株が弱り、生育が鈍る。病気も発生しやすくなるため、格段に失敗リスクが高まるだろう。
よって、なるべく失敗リスクを減らしたいなら、5月以降の定植は避けたい。
プランターで栽培するのに必要なもの
プランターを使った本格栽培でグリーンピースの収穫まで目指す場合、どんな道具が必要になるだろうか?
揃えておきたいものをリストアップしておこう。
- プランター
- 野菜用の培養土
- 支柱とネット
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- ジョウロ
- スコップ
「プランター、培養土、支柱とネット」は、基本の3点セットである。これがないと始まらない。
「鉢底石、鉢底ネット」は、プランターの機能を最大限に発揮するために必須のアイテムだ。
あると便利な園芸道具が「ジョウロ、スコップ」。作業がスムーズになるので、そろえておきたい。
それぞれ、もう少し詳しく解説しよう。
プランター
一般的な、長方形のプランターでOK。エンドウはある程度深く根を張るため、深さが20cm以上、できれば30cm程度あるものを選ぶとよい。
必ず、プランターの底に水はけ用の穴が開いているものを選ぼう。
野菜用の培養土
土とその中に含まれる栄養分は、植物にとって不可欠だ。選択に迷ったら「野菜用培養土」や「花と野菜の土」として売られているものを選べばよいだろう。
これらの土は、あらかじめ植物の成長に必要な肥料がバランス良く配合されている。水はけもよいので、初心者でも失敗が少ない。
くれぐれも、公園や庭の土をそのまま使うのは避けてほしい。固まりやすかったり、雑草の種や病害虫が潜んでいたりする可能性がある。

支柱とネット
エンドウは《ツル性植物》である。成長するとツルを長く伸ばすため、支えがないと地面を這ってしまう。そのまま放っておくと、風通しが悪くなって病気の原因になる。
グリーンピースの収穫を目指すなら、支柱とネットが必須だ。しっかりとネットを張って誘引することで、収穫量が増えやすくなる。
長さ150cm以上の支柱をプランターに立て、園芸用のネットを支柱の間に張っておこう。ツルが伸び始めてからで間に合うが、植え付け時に一緒に準備しておくとスムーズだ。
鉢底ネット
プランターの鉢底穴を覆うように鉢底ネットを置いておこう。プランターの底穴から、土や鉢底石が流れ出るのを防いでくれる。
また、鉢底の穴から害虫が侵入するのも防いでくれる。

鉢底石
鉢底石には、水のやりすぎによる《根腐れ》を防ぐ重要な役割がある。プランターの底に鉢底石を敷くと、水はけが抜群によくなるのだ。
あらかじめ、排水用のネットなどに鉢底石を入れておく方法もある。土と鉢底石が混ざらなくなるので、土の入れ替え作業が非常にラクになる。
ジョウロ
水やりはコップやペットボトルでできなくもないが、ジョウロがあると便利だ。一気に大量の水をまける。
また、ハス口のついたジョウロなら、シャワーのような柔らかな水やりができる。植え付けたばかりの苗を倒したり、土をえぐったりする心配が少ない。
スコップ
スコップは、プランターに土を入れる際にあると便利だ。手で入れるよりも作業が格段にラクで、周りを汚さずに済む。
これらの道具を揃えれば、豆苗を土に植えて育てるためのスタートラインに立てる。
とくに「プランター、培養土、支柱&ネット」の3点は、収穫の成否を大きく左右するので、ぜひこだわって選んでみて欲しい。
豆苗からエンドウ豆を育てる手順
最後に《豆苗からエンドウ豆を育てる手順》をご紹介しよう。
まず大切なのは、焦らず、ベストシーズンまで待つことだ。本格的な成長期に真夏や真冬が重なると、高い確率で失敗する。先述の植え付け適期に始めよう。
STEP.1
道具と材料を揃えよう。先述のリストを参考に、植え付け適期までに準備しておくとよい。スタートがスムーズになる。
STEP.2
スーパーで豆苗を購入しよう。豆がふっくらと大きいもの、根が白くてきれいなもの、茎が太くしっかりしているものがおすすめだ。
STEP.3
豆苗をおいしくいただこう。脇芽を残してカットすることが大切。下の部分を容器に入れ、豆がつからないように水を入れる。
STEP.4
再生栽培に挑戦しよう。毎日必ず1~2回、新鮮な水に取り替えることが大切。室内の明るい場所に置き、新しい芽が適度に伸びるのを待つ。
STEP.5
プランターを準備しよう。鉢底穴の上に鉢底石とネットを置き、その上に培養土を、プランターの縁から2cm程度下まで入れる。
STEP.6
丁寧に植え付けよう。根を傷つけないように注意しながら、豆が土に隠れるか隠れないかくらいの《浅植え》にする。
STEP.7
定植後はタップリ水をやろう。鉢底から水が流れ出るまで、ジョウロで優しく水をあげる。以降は、土の表面が乾いたらタップリ水をやる。
STEP.8
1週間は養生させよう。植え付け直後は、植物が環境に適応できていない。明るい日陰で管理し、環境に慣れさせることが大切。
STEP.9
1週間後、通常管理で育て始めよう。養生期間が終わったら、いよいよ日当たりと風通しのよい一等地に移動させる。
STEP.10
支柱を立て、ツルを誘導しよう。プランターに支柱を立て、ネットを張り、ツルを優しく絡ませてあげる。一度絡みつけば、あとは自分で登っていく。
STEP.11
追肥で栄養を補給しよう。まずは、植え付けから2~3週間後。次は花が咲き始めたころに液体肥料を与えると、実つきがよくなる。
STEP.12
タイミングを見計らって収穫しよう。サヤエンドウで収穫するもよし、グリーンピースまで育てるもよし。清潔なハサミでサヤの付け根をカットする。
この手順どおりに進めれば、豆苗からグリーンピースを収穫できる可能性が上がるだろう。ぜひ、栽培を楽しんでほしい。
まとめ:豆苗を庭に植えてはいけない?
さいごに、本稿のおさらいをしておこう。
豆苗を庭に植えてはいけないって本当?
豆苗を庭に植えても問題ない。ただし、栽培や管理の手間がかかるうえ、枯れてしまうこともある。また、収穫してもおいしくないかもしれない。詳しくは、こちらをご覧いただきたい。
豆苗の再生栽培や土に植えるメリットは?
豆苗の再生栽培(リボベジ)は、非常に手軽、かつ短期間でできる。土に植えると、サヤエンドウやグリーンピースに育て上げることも可能だ。詳しくは、こちらをご覧いただきたい。