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ムクゲを植えてはいけない?本当に凶木?理由や対処法と育て方を解説

ムクゲを植えてはいけない?本当に凶木?理由や対処法と育て方を解説
ホリカワ
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住宅ライターのホリカワです。植栽やお庭づくりのポイントを、わかりやすく解説します。

美しい花を持つムクゲに心惹かれる方が、少なくないだろう。しかし「ムクゲを庭に植えてはいけない」という話を耳にしたことはないだろうか?

凶木と呼ばれたり、風水的に問題があるとされたりするムクゲ。何か、リスクがあるのだろうか?庭に植える植物選びをしている方にとって、真相を知っておきたいところだろう。

本稿では、「ムクゲを庭に植えてはいけない」と言われる理由や、対処法について詳しく解説する。納得して植物を選びたい方は、ぜひ最後までチェックしていただきたい。

ムクゲ(木槿)を庭に植えてはいけないと言われる理由

ムクゲ(木槿)を庭に植えてはいけないと言われる理由

ムクゲは人気の花木だ。夏に、美しい花を咲かせる。しかし、ネットで口コミを見ていると「凶木」「植えてはいけない」と書かれているものを見つけることがある。なぜだろうか?

ムクゲが「凶木」として扱われる理由や、実際のリスクについて、さまざまな視点から見ていこう。

凶木・縁起が悪い木とされる

ムクゲのことを「凶木」「縁起が悪い」と言う方がいる。じつは、そのように扱われるいくつかの要因がある。代表的なものをあげてみよう。

  • 短命を連想させる
  • 風水では「陰木」とされる
  • 古典的な華道書で避けられている

順番に、補足説明をしておく。

短命を連想させる

ムクゲ(漢字表記は槿、または木槿)の花は、アサガオと同様に一日でしぼんでしまう。そのため、はかなさや短命のたとえとして用いられることがある。

たとえば、以下のようなことわざがあるのをご存じだろうか?いずれも、人が輝いていられる時期の短さを表わしている。

  • 「槿花一日の栄」
  • 「槿花一朝の夢」

この元になっているのは、白氏文集の「松樹千年終是朽、槿花一日自為栄」らしい。「松樹千年なるも終に是れ朽ち、槿花きんか一日なるも自ら栄を為す」と読む。

意味は「松は千年の樹齢があってもやがて朽ちるものだし、ムクゲは一日で散るものの自ら美しい花を咲かせるものだ」くらいだろうか。

元になった文を見る限り、人が輝いていられる時期の短さを嘆いているようには感じない。むしろ「今を大切に生きよう」と言われているような気がしないだろうか?

ホリカワ
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ムクゲの一日花を「短命」と捉えるのではなく、スポットライトを今に当てると捉えてみてはどうでしょうか。

風水では「陰木」とされる

風水では、ムクゲを《陰木》とするケースがある。住宅の庭木には陽木が適し、陰木はなるべく避けたほうが無難と言われている。

しかし、陰木であっても植える方位によっては吉とする専門家もいる。ムクゲについては「南側なら、風水的に好ましい」と解く方がおられるようだ。

ちなみに『日本俗信辞典』では、ムクゲを禁忌植物としている地域の例をあげている。たとえば、福島県郡山市や新潟県南蒲原郡、鳥取などだ。

風水の場合は、専門家によって解釈が分かれる場合がある。俗信においては、かなり地域性があるようだ。気にする地域もあれば、気にしない地域もある。

人や地域で意見が変わるのであれば、ムクゲを一概に「よくない花木」と決めつけてしまわないほうがよいだろう。

古典的な華道書で避けられている

古典的な華道書『仙伝抄 (1536)』では「禁花の事、むくげ」とされていて、ムクゲの使用を避けるよう推奨している。

『替花伝秘書 (1661)』でも「きらい物の事」にムクゲがある。『立華正道集 (1684)』では「祝儀に嫌うべき物の事」にムクゲが出てくる。

ホリカワ
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このような記載が誇大解釈され「庭に植えてはいけない」となったのかもしれませんね。

一方、皇居東御苑にはムクゲが植わっている。京都の祇園祭で有名な八坂神社にも、《祇園守 (ぎおんまもり)》と呼ばれるムクゲが咲いている。

一般家庭でも、ムクゲは人気の低木だ。「庭に植えてはいけない」は、あまり気にしなくてもよいのではないだろうか。

害虫が付きやすい

ムクゲは樹勢が強く、枝葉が密になりやすい。また、春から秋まで長期間葉を付けるため、害虫が繁殖しやすい環境になりがちだ。

たとえば、こんな害虫がムクゲに付く。

  • アザミウマ
  • アブラムシ
  • エカキムシ
  • カイガラムシ
  • カミキリムシ
  • ケムシ
  • コガネムシの幼虫
  • コナジラミ
  • ナメクジ
  • ハダニ
  • ワタノメイガ

上述のとおり、ムクゲに付く害虫は少なくない。しかし、適切な管理をおこなえば対処可能だ。

おもな害虫対策をご紹介しよう。

剪定 11~3月までの休眠期に剪定を行い、枝葉の密集を防ぐ
早期発見 こまめに観察し、害虫を見つけたらすぐに対処
薬剤の使用 害虫予防剤や殺虫剤を適切に使用
健康の維持 適切な肥料や水やりで樹勢を保ち、害虫への抵抗力を高める

アブラムシがひどい場合は、テントウムシなどの天敵を活用して、自然な害虫駆除をおこなうことも可能だろう。

ムクゲの美しい花を楽しむためにも、定期的な観察とケアを忘れないようにしたい。

冬の見た目がよくない

冬のムクゲは「見た目があまりよくない」と言われることがある。ムクゲは落葉樹であるため、冬になると葉を落とす。常緑樹と比べて、冬の景観が単調になりがちなのだ。

葉が落ちると枝だけの姿になり、夏の華やかさが失われる。ムクゲの葉や花がなくなることで、庭全体が寂しい印象になってしまうケースもある。お庭によっては、適さないかもしれない。

また、通常ムクゲは冬の休眠期に強剪定をおこなう。そのため、生垣として使用している場合は、冬のあいだ目隠しとしての機能が大幅に低下する点も留意が必要だ。

ムクゲ(木槿)の魅力や、庭に植えるメリット

ムクゲの魅力や、庭に植えるメリット

ムクゲは、ただ花を楽しめるだけでなく、文化的な豊かさや自然の移ろいを感じられる花木だ。歴史的な背景や風習に基づく意味を知ると、ムクゲがただの観賞用植物を超えた存在であることが分かる。

ムクゲの美しさや、育てやすさに焦点を当て、その魅力を紹介しよう。

千宗旦が愛した美しい花を、長期間楽しめる

ムクゲは6月下旬から9月頃まで、長期間にわたって花を楽しむことができる。盛夏を彩る代表的な花木と言えるだろう。ちなみに、ハイビスカスとは同じアオイ科フヨウ属の仲間だ。

ムクゲは白色やピンク色、八重咲きなど、多くの品種がある。花は《一日花》で、朝咲いて夕方にはしぼんでしまうが、次々と新しい花が咲く。

茶道では、一日花のムクゲを「詫びの精神と一致する」として、朝茶事の茶室に飾ることが多いそうだ。「冬は椿、夏は木槿」と言われるほど、好まれている。

茶人・千宗旦は、ムクゲの特定の品種をこよなく愛していた。現在、この品種は「ソウタン」と呼ばれている。白地に底紅そこべにが特徴的なムクゲだ。

ムクゲは、秋の季語にもなっている。松尾芭蕉の「道のべの木槿は馬にくはれけり」や小林一茶の「それがしも其の日暮らしぞ花木槿」が有名だ。

丈夫で、剪定にも強いため、育てやすい

ムクゲは、その丈夫さが魅力だ。暑さや寒さに強く、日本全国どこでも育てられるほど適応力が高い。とても育てやすい花木と言える。

さらに、地植えをすればほとんど水やりが不要な点も、園芸初心者には大きな利点だ。強剪定に耐えられるところも、初心者には心強いだろう。

まとめておこう。

丈夫さと適応性 暑さにも寒さにも強く、北海道から沖縄まで広い地域で地植えされている。生命力が強く、地植えの場合は基本的に水やりの必要がない。
剪定への強さ 強剪定にも耐えられるため、初心者でも比較的簡単に管理できる。落葉期(12~3月)に剪定をおこなうことで、花芽を失わずに済む。
育てやすさ 生育旺盛で花付きがよく、成長も早い。6月下旬から9月頃まで長期間にわたって花を楽しめる。一日花だが、次々と咲き継いでくれる。

あなたも、リビングから見える位置にムクゲを植えてみてはどうだろうか?

盛夏に毎朝カーテンを開けると、美しいムクゲの花が咲いている —— そんな景色を想像してみてほしい。少しは、涼しい気分になるのではないだろうか。

花言葉が魅力的で、シンボルとしても大事にされている

ムクゲの花言葉は、その美しさと一日花のはかなさを表現しており、人々の心に響く魅力的なメッセージ性を持っている。たとえば、こんな花言葉だ。

  • デリケートな愛
  • 繊細な美しさ
  • 新しい美

他にも「信念」や「尊敬」「粘り強さ」「一途な心」などの花言葉もある。

また、ムクゲはアジアのいろいろな国で愛され、文化的意味を持つ花として大切にされている。日本で茶人の千宗旦に愛されたことや俳句の季語に用いられていることは、既にご紹介したとおりだ。

韓国では、ムクゲを国花として指定している。韓国語で「ムグンファ (無窮花)」と呼ばれ、「終わりのない花」という意味を持つ。国歌にも登場するほど、韓国を象徴する重要な存在だ。

ムクゲのひとつの花は短命であるが、夏から秋に次々と咲き継がれる。日本ではそのはかなさが愛され、韓国ではその無窮の繁栄力が愛されている。

ムクゲ(木槿)の植え方・育て方

ムクゲの植え方・育て方

ムクゲを育てることは、ただのガーデニング作業ではなく、自然との触れ合いだ。成長を楽しむ豊かな経験をもたらしてくれる。

美しい花を咲かせ庭に彩りを添えるムクゲは、初心者でも比較的育てやすい植物だ。ここでは、ムクゲの植え方や育て方のコツを詳しく解説する。

ムクゲを植えるのに適した環境

ムクゲは、日当たりの良い場所で育てると美しい花を咲かせる。明るい日陰でも生育可能だが、やはり直射日光をたっぷり浴びたほうが、花の咲き具合がよくなる。

庭に地植えする場合は、水はけの悪い場所を避けよう。腐植質に富んだ土を使用すると、ムクゲはさらに元気に育ち、美しい花を咲かせてくれるだろう。

まとめておこう。

日照 日当たりの良い場所が適している。明るい日陰でも生育は可能だが、花付きは悪くなる。
土壌 水はけの良い土壌を好む。土壌質はとくに選ばないが、腐植質に富んだ土壌が理想的。

ムクゲは、根を深く下へ伸ばして育つ。狭いスペースでも育てやすいため、都市部の庭でも問題なく育てられるだろう。なお、一般的に鉢植えでは育てない。

ムクゲの植え方と植える際の注意点

ムクゲは初心者でも簡単に育てられるが、植える際に少し工夫をすることで、より良い成長が期待できる。植え方のポイントをまとめておこう。


  • STEP.1

    植え付け時期:落葉期の12月から3月が適している。根がしっかりと定着しやすい。


  • STEP.2

    植え穴の準備:根鉢より一回り大きな穴を掘る。腐葉土やピートモスを混ぜた土を使うとよい。


  • STEP.3

    植え付け:根鉢を穴に入れ、周りに準備した土を入れる。軽く踏み固めて安定させる。


  • STEP.4

    水やり:植え付け後はたっぷりと水を与える。根がしっかりと張るまで丁寧にケア。


ムクゲが庭に根付くと、やがて夏ごとに花を咲かせ、家族や訪れる人々の目を楽しませてくれるだろう。

ムクゲの育て方(水やり・施肥・剪定など)のコツ

ムクゲを育てる楽しみは、手入れの中にある。水やりや施肥は、それほど気を遣わなくても大丈夫だ。剪定は、しっかり時期を守ろう。

ポイントをご紹介する。

水やり 地植えの場合、根付いた後はあまり水やりの必要はない。夏場、極端に乾燥したときは水をやる。
肥料 冬の落葉期(12~1月頃)に寒肥として有機質肥料を与える。夏の開花期に少量の化成肥料を与えると、花付きがよくなる。
剪定 剪定の適期は落葉後(12~3月)の休眠期。春から花が終わるまでのあいだは剪定しないほうがよい。

ムクゲは、葉が落ちて枝だけになった頃に剪定しよう。この時期なら、強剪定にも耐えられる。

一方、春から伸びた枝先には花芽が付く。この枝先を切ってしまうと、花芽がなくなってしまう。花を見たいのであれば、春から花が終わるまでのあいだは剪定しないほうが無難だ。

夏に強剪定をおこなうと、枯れやすいので注意。伸びすぎてどうしても切りたいときは、樹形を乱す枝を間引く程度にしておこう。

縁起が気になる人必見!ムクゲの代わりになる植物

最後に、ムクゲの縁起が気になる方のために、代わりになる植物をご紹介しておこう。

これからご紹介する植物は、ムクゲと同様に庭を彩ることができる。さらに、それぞれが縁起のよい意味を持っているため、ムクゲの縁起が気になる方に適している。

ただし、選ぶ際は気候や土壌条件、好みの花の色や咲く時期などを考慮して決めていただきたい。

ハイビスカス

ハイビスカスはムクゲと同じアオイ科で、花の形が似ている。南国のイメージがあり、明るく華やかな雰囲気を演出できる。ただし、耐寒性が低く寒冷地には向かない点は注意したい。

キンモクセイ

キンモクセイは、秋に甘い香りの花を咲かせる。日本の三大芳香木のひとつ。「金」の字が入っているため、金運アップの象徴と言われている。常緑樹で、生垣によく利用される。

サザンカ

冬に花を咲かせ、寒さに強い性質から「ひたむき」や「困難に打ち勝つ」などの花言葉がある。常緑樹で、年中緑を楽しめる。古くから親しまれ、生垣によく利用される。

まとめ:ムクゲ(木槿)を庭に植えてはいけないと言われる理由

さいごに、本稿のおさらいをしておこう。

ムクゲを庭に植えてはいけない?

ムクゲを庭に植えても問題ない。むしろ、ムクゲは人気の花木だ。短命を連想させたり、風水で陰木とされたりしているが、凶木と決めつけないほうがよい。詳しくはこちらをご覧いただきたい。

ムクゲ(木槿)を庭に植えてはいけないと言われる理由

ムクゲの魅力は?

茶人・千宗旦は、はかなくも美しい花を咲かせるムクゲを愛した。アサガオと同じ一日花だが、次々と新しい花が咲く。韓国ではその繁栄力が愛されている。詳しくはこちらをご覧いただきたい。

ムクゲの魅力や、庭に植えるメリット

  • この記事を書いた人
ベランダ園芸家のアルマ

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園芸家のアルマ・編集部です。「楽しい倹約生活!」をビジョンに、家計節約に役立つ情報をわかりやすくお伝えして参ります。

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