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住宅ローン節約

住宅ローン《頭金 vs 繰り上げ返済》どっちがお得?賢い返済計画ガイド

ホリカワ
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住宅専門ライターのホリカワです。住宅ローンの仕組みや特徴をわかりやすく解説します。

住宅ローンを組むとき、自己資金を頭金に使うか、それともあとで繰り上げ返済に使うか ―― 悩ましい問題だ。あなたも、最適な返済方法を見つけ、家計の負担を減らしたいと思っているだろう。

考えようによっては、頭金は借入直後に繰り上げ返済を実行するようなものだ。タイミングが違うだけのような気もする。しかし、実際はその「タイミングの違い」により小さくない差が出る。

本稿では《頭金と繰り上げ返済》の《メリットとデメリット》を分かりやすく比較して、あなたにぴったりの返済計画を見つけるお手伝いをしたい。ぜひ、最後までチェックして欲しい。

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頭金 vs 繰り上げ返済、住宅ローンでお得なのはどっち?

住宅ローンを借りる際、自己資金は《頭金》に使うほうがいいのだろうか?それとも、あとで《繰り上げ返済》に使うほうがいいのだろうか?

結論から言うと、どちらがいいかは人による。どう返済していきたいか、どのリスクを軽減しておきたいか、などの条件しだいで答えが変わるのだ。

ホリカワ
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一概にどちらがお得とは言えないので、本稿の情報をヒントに、どちらが自分に合っているか検討してみてください。

これから頭金と繰り上げ返済を比較していくが、先に目安をご紹介しておこう。

まず、以下の方は「頭金」に向いている。

  • すでに、頭金の原資がたまっている
  • 今後も、良好な給与水準を維持できる
  • 属性や信用力にやや懸念がある
  • 金利の優遇措置を受けたい

一方、以下の方は「繰り上げ返済」に向いている。

  • できるだけ利息の負担を少なくしたい
  • 良好な利回りで投資できる自信がある
  • 一定期間、手元に資金を残しておきたい
  • 住宅ローン減税を利用したい

なぜ、このような目安になるのか、順を追って説明していこう。

頭金と繰り上げ返済は、同じ類いのもの?

さっそく、頭金と繰り上げ返済の特徴をまとめてみよう。

頭金家の購入代金のうち、自分の資金から用意するお金のこと。頭金を多く支払うことで住宅ローンの借入額が減り、その分の利息をなくせる。
繰り上げ返済住宅ローンの返済中に、毎月の返済額とは別にまとまったお金を返済すること。ローンの残高を減らし、利息負担を軽減できる。

じつは、頭金と繰り上げ返済は似ている。どちらも、自己資金を使って利息の負担を減らす行為だ。

見方によっては、頭金は「借入と同時に《返済額軽減型の繰り上げ返済》を実行するようなもの」とも考えられる。両者の違いは、タイミングだけなのだろうか?

いや、「違いは、タイミングだけ」と言ってしまえるほど単純な話ではない。順を追って説明していこう。

利息を軽減したいだけなら、頭金が有利?

まずは、利息や支払総額だけに着目するところからスタートしてみよう。

支払総額を軽減したいなら、できるだけ早い時期に期間短縮型で繰り上げ返済するとよい。頭金を入れたり、返済額軽減型で繰り上げ返済するより利息を減らせる。

以下の条件で検討してみよう。

  • 物件価格:4000万円
  • 金利 (固定):1.8%
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済
  • ボーナス返済:なし

上述の条件で、400万円を頭金に使う場合と、1年後に繰り上げ返済に使う場合の比較をしてみよう。

繰り上げ返済は、期間短縮型(期間を短縮する方法)と返済額軽減型(返済額を軽減する方法)の両方で計算してみる。

繰り上げ返済なし期間短縮型返済額軽減型
頭金4,000,000円0円0円
返済期間35年35年

30年5か月
35年
返済額/月115,592円128,436円128,436円

115,570円
支払総額52,548,891円50,805,615円52,552,490円

上の表のように、支払総額は期間短縮型の繰り上げ返済がもっとも軽減できる。しかし、この方法をとる場合は、毎月の返済額が高いままだ。

頭金を入れて、毎月の返済額がラクになった分を貯蓄し、一定額が貯まったら繰り上げ返済する方法もある。どれがいいかは《借りる人しだい》だ。

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あなたの家計やライフプランに合わせて検討する必要があります。

住宅ローンの利用時に頭金を入れるメリットとデメリット

つづいて、住宅ローンの利用時に頭金を入れるメリットとデメリットを比較してみよう。

知っておきたい《頭金》のデメリット

まずは、頭金を入れるデメリットをふたつご紹介しよう。

  • 資金を準備する必要がある
  • 手元流動性が低くなる

それぞれ、もう少し補足説明をしておこう。

資金を準備する必要がある

もしも、これから頭金をためるつもりなら、返済開始を先送りするリスクも考える必要がある。

たとえば、こんなリスクだ。

  • 頭金をためているあいだの家賃が必要
  • 完済時期が先送りされると、老後の資金繰りに影響する
  • 頭金を貯めている間に金利や住宅価格が上がる可能性も
  • 健康状態が悪くなると、団信に加入できなくなる

賃貸住宅で暮らしている方は、頭金をためているあいだの家賃を払い続けなければならない。完済時期が遅れ、年金生活時にも返済が続くようであれば、キャッシュフローの悪化も避けられない。

現在の状況を考慮すると、頭金を貯めているあいだに金利や住宅価格が上がることもあり得る。日銀がマイナス金利政策を解除したことで金利は上場局面に入り、住宅価格も上昇傾向を示している。

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昨今の住宅は、耐震や省エネなどの性能を強く求められています。そのコスト増と人手不足による労務費の増加で、価格が上がり続けています。

また、頭金を貯めているあいだに健康状態が悪くなると、団信(団体信用生命保険)に加入できなくなる。そうなると、もはや民間の住宅ローンは利用できない。

そもそも、家賃を払いながら頭金を貯めるのは、なかなか大変ではないだろうか?それで何年もロスするくらいなら、頭金なしで家を買ってしまったほうがよいケースもある。

ちなみに、よく「頭金は2割必要」と言われるが、それはバブル頃の高金利時代の話だ。低金利時代には、そのようなルールは必要なくなっているので、過度に気にしなくていい。

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かつての主流だった《住宅金融公庫》の融資条件が「物件価格の8割まで」だったからですね。オーバーローンを防ぐための措置です。

手元流動性が低くなる

手元資金を頭金に使ってしまうと、もう元には戻せない。手元流動性(すぐに使える資産、緊急時の予備費)を減少させてしまう。

手元流動性がなくなると、具体的にどんなリスクがあるのだろうか?―― 手元流動性がなくなると、突然の収入激減に耐えられなくなる。たとえば、こんなときだ。

  • 転職・独立
  • 失業・解雇・倒産
  • 病気・ケガ
  • 自然災害
  • 家族の介護

手元流動性が低い方は、収入が途絶えると、ローンに頼らざるを得なくなることもあるだろう。

しかし、生活資金をローンでまかない始めると、高金利による利息の支払いで、さらに手元流動性を低下させる悪循環に陥ってしまう。

急に、大きな資金が必要になる可能性もある。

ホリカワ
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たとえば、車の買い換え費や子どもの進学費、緊急性の高い家の修繕費などですね。

手元に資金がなければ、これらイベントは、諦めるかローンに頼ることになる。しかし、カーローンや教育ローン、あるいはリフォームローンはどれも住宅ローンより金利が高い。

同じ借金なら、住宅ローンのほうがお得なのだ。このような事態の備えがなくなるほどに、手元流動性を下げてしまうのは得策ではない。

《頭金》ならではのメリット

つづいて、頭金を入れるメリットをふたつご紹介しよう。

  • 信用力がアップする
  • 優遇措置を受けられる場合がある

それぞれ、もう少し補足説明をしておこう。

信用力がアップする

金融機関は、高金利時代ほどではないものの、融資率(物件価格に対する借入額の割合)を気にしている。頭金があれば、多少なりとも信用力の向上に寄与する。

とりわけ、信用力や経済的属性に弱みがある方は、頭金が審査上の「不利」を相殺してくれるだろう。たとえば、以下の方だ。

  • 非正規雇用(アルバイト・パート・契約社員・派遣社員など)
  • 個人事業主(自営業・フリーランスなど)
  • 社長(会社経営者)

頭金が多くなればなるほど、融資率は低くなる。融資率が低い融資は「担保物件の市場価値」が「住宅ローンの返済残高」を上回る可能性が高い。

つまり、頭金が多い案件は、契約者が返済に困ったとしても《売却や借り替えにより延滞や貸し倒れを回避できる可能性が高い》のだ。

金融機関にしてみれば、融資率が低い案件は「安全性が高い」と評価できる。だから、審査で承認されやすくなる。

優遇措置を受けられる場合がある

ローン商品によっては、頭金を10~20%用意することで金利を優遇してもらえる。たとえば、フラット35の場合は頭金10%(融資率90%)を境に適用金利が変わる。

住宅ローンの借入金額は大きい。0.1%でも金利を下げられると、利息を大きく軽減できる。先にご紹介したシミュレーションに合わせて、以下の条件で比較してみよう。

  • 物件価格:4000万円
  • 金利 (固定):1.8%、1.9%
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済
  • ボーナス返済:なし

比較検討しやすくするために、一方は頭金を400万円用意して金利1.8%を適用。もう一方は頭金なしで金利1.9%を適用して、初返済の際に400万円を繰り上げ返済したとする。

結果は、以下のとおりだ。

繰り上げ返済なし期間短縮型返済額軽減型
頭金4,000,000円0円0円
金利1.8%1.9%1.9%
返済期間35年35年

30年4か月
35年
返済額/月115,592円130,461円130,461円

117,393円
支払総額52,548,891円51,421,666円53,318,104円

どうだろうか。依然として期間短縮型の繰り上げ返済がもっとも利息を抑えられる。しかし、先に紹介したシミュレーションより差が縮まった。

返済額軽減型の繰り上げ返済に至っては、完全に不利になってしまった。返済額軽減型を選ぶくらいなら、頭金に出だすほうがよさそうだ。

住宅ローンの返済中に繰り上げ返済するメリットとデメリット

つづいて、住宅ローンの返済中に繰り上げ返済を実行するメリットとデメリットを比較してみよう。

知っておきたい《繰り上げ返済》のデメリット

まずは、繰り上げ返済を実行するデメリットをふたつご紹介しよう。

  • 返済がシビアになる
  • 計画通りに実行できない可能性がある

それぞれ、もう少し補足説明をしておこう。

返済がシビアになる

これまで例示してきたとおり、繰り上げ返済には短所やリスクがある。

たとえば、返済額軽減型の繰り上げ返済は、しばらく手元流動性を維持できる。しかし、利息は頭金のほうが抑えられる。

期間短縮型は利息の軽減効果が大きく、返済期間も短くできる。しかし、毎月の返済額が高いままなので、頭金より家計への負担感が大きい。

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どの選択肢にも一得一失があります。自分に合った返済方法を選ぶことが大切ですよ。

計画通りに実行できない可能性がある

お金があるとつい使ってしまう方は、要注意だ。せっかく残しておいた繰り上げ返済の原資を、消費や浪費に費やさないようにしたい。

投資に回すのも注意が必要だ。元本割れする可能性もある。ちゃんと原資を温存するか、利回りよく投資できないのであれば、頭金として活用するほうが安心ではないだろうか。

《繰り上げ返済》ならではのメリット

つづいて、繰り上げ返済を実行するメリットをふたつご紹介しよう。

  • 好きなタイミングで実行できる
  • 住宅ローン減税を活用できる

それぞれ、もう少し補足説明をしておこう。

好きなタイミングで実行できる

繰り上げ返済は、原資さえあれば、自分にとって都合のよいタイミングで実行できる。借り換えや金利引き下げ交渉のように、断られる心配もない。

低金利が続く限り繰り上げ返済をせず、現預金をずっと手元に置いておくのもいい。5年ルールをうまく活用して、金利が上がるタイミングで繰り上げ返済を実行すれば負担を軽減できる。

住宅ローン減税を活用できる

繰り返しになるが、繰り上げ返済は自分にとって都合のよいタイミングで実行できる。つまり、住宅ローン減税を利用し終わるタイミングを見計らって実行することも可能だ。

住宅ローン減税を使うと、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除できる。

ただし、借入の条件しだいでは、住宅ローン減税を利用するより繰り上げ返済を実行するほうが利息を軽減できる場合もある。しっかりシミュレーションしておこう。

頭金?繰り上げ返済?生活の質を向上させるために検討したいこと

最後に、資金を頭金に使うか繰り上げ返済に使うか迷ったとき、検討しておきたいことをあげておこう。利息にばかり気を取られず、広い視野を持ってご検討いただきたい。

ライフプランニングを実施しよう

住宅の購入前に、一度は将来の家計の推移予測を立てておくべきだ。家計を見える化しておくと、頭金を入れるほうがいいのか、それとも繰り上げ返済をするほうがいいのか判断しやすくなる。

家計を見える化をしたい方は、ライフプランニングを実施するとよい。ファイナンシャルプランナーに依頼して、ライフイベントと金融資産の推移を表にしてもらおう。

今は、ファイナンシャルプランナーとマッチングしてくれるサービスもあり、探しやすくなっている。人生最大とも言われる額の買い物をするのだから、ぜひ、一度チャレンジしていただきたい。

団信と完済予定の年齢を意識しよう

住宅ローンを検討する際、団信(団体信用生命保険)のことも考慮したい。団信に加入すると、死亡または高度障害状態になったとき、残っている住宅ローンを保険金で完済できる。

がんや疾病による死亡リスクは、一般的に年齢とともに上がる。同じ《返済期間35年》の住宅ローンでも、借入時の年齢が30歳の人と40歳の人では、団信を使う可能性が異なる。

完済予定の年齢が高い方は、団信の補償があると安心だ。万が一、返済中に亡くなったとき、残されたご家族が苦労しなくて済む。

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頭金や繰り上げ返済で完済時期を早めるか、どちらも実行せず団信を取るか、しっかり検討したいですね。

団信については、以下の記事で詳しく解説している。ご興味がある方は、あわせてご覧いただきたい。

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借り換えも念頭に、健康を管理しよう

今より金利が低い他行に借り換えることで、利息を軽減できる可能性がある。借り換えをうまく活用すれば、手元の資金を減らさずに済む。場合によっては団信の保障も強化できる。

借り換える場合は、団信は借り換え先の金融機関で新たに加入し直す必要がある。だから、今より保障の手厚い団信に加入することもできる ―― という寸法だ。

ただし、団信には加入条件がある。よくある生命保険と同じく、加入時に健康状態を告知し審査で承認を得て加入する。だから、健康状態が基準を満たしていなければならない。

言い換えると、健康状態が悪くなっていると団信に加入できない ―― つまり、住宅ローンを借り換えられないということだ。借り換えの選択肢を失わないためにも、良好な健康状態を維持しよう。

まとめ:住宅ローン《頭金 vs 繰り上げ返済》どっちがお得?

さいごに、本稿のおさらいをしておこう。

頭金と繰り上げ返済、どっちがお得?

結論から言うと、どちらがいいかは人による。どう返済していきたいか、どのリスクを軽減しておきたいか、などの条件しだいで答えが変わる。詳しくはこちらをご覧いただきたい。

頭金 vs 繰り上げ返済、住宅ローンでお得なのはどっち?

頭金のメリットは?

頭金が多いと、信用力がアップする。優遇金利が適用される場合もある。信用力や経済的属性に弱みがある方や、利息負担を減らしたい方に向いている。詳しくはこちらをご覧いただきたい。

住宅ローンの利用時に頭金を入れるメリットとデメリット

繰り上げ返済のメリットは?

繰り上げ返済なら、好きなタイミングで実行できる。しばらくは手元資金として残しておき、住宅ローン減税を利用し終わってから実行することも可能だ。詳しくはこちらをご覧いただきたい。

住宅ローンの返済中に繰り上げ返済するメリットとデメリット

  • この記事を書いた人
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ホリカワ ダット

主に住宅分野を専門とするブロガー・SEOライター。インテリアコーディネーター1級カラーコディネーター (商品色彩) の資格保有。ランサーズ認定・不動産ライタースペシャリスト。「家探し」や「家づくり」のノウハウを、わかりやすく解説します。

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