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住宅ローン節約

住宅ローンを繰り上げ返済してはいけない大きな理由 - 手元流動性とは

ホリカワ
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住宅専門ライターのホリカワです。住宅ローンの仕組みや特徴をわかりやすく解説します。

金利が上昇する可能性がある現在、たくさんの人々が住宅ローンの返済に不安を感じているだろう。その対策として、繰り上げ返済を検討されている方が少なくない。

住宅ローンの繰り上げ返済は、一見すると賢明な選択に思える。しかし、実際にはさまざまなリスクやデメリットをともなうため、慎重に実行する必要がある。

本稿では「住宅ローンを繰り上げ返済してはいけない」と言われる最大の理由や、金利上昇局面での住宅ローンの対処法を解説する。ぜひ最後までご覧いただきたい。

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住宅ローンを繰り上げ返済してはいけない大きな理由

繰り上げ返済をする際、数百万円を返済にあてる方が少なくない。とても大きな金額であり、繰上返済後に問題に気づいてしまうと相当なショックを受けるだろう。後悔したくないものだ。

実際のところ、繰り上げ返済には、長所もあれは短所もある。だから、積極的に活用すべきかどうかは人によるだろう。短所によるダメージが大きい方は、実行するかどうか慎重に検討したい。

検討するうえでとりわけ注意したい短所が《手元流動性の減少》だ。手元流動性がなくなるほどの繰り上げ返済は、実行してはいけない。急な出費や収入激減に耐えられなくなる。

手元流動性がなくなるほどの繰り上げ返済は危険

手元流動性とは、すぐに使える資産のことだ。《緊急時の予備費》と考えるとよいだろう。たとえば、現金や普通預金、市場で売りやすい有価証券などが該当する。

市場で売りやすい有価証券とは、たとえば大手企業の株式や個人向け国債 (条件あり)、ETF(上場投資信託)などだ。投資信託は、期待利回りが住宅ローンの金利を超えるものが少なくないだろう。

一方、すぐに使えない預貯金や中途解約できない金融商品、換金に手間のかかる資産は手元流動性が低いと言える。

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たとえば、不動産や保険商品、美術品などですね。

手元流動性がなくなると、急な出費や突然の収入激減に耐えられなくなる。

一方、手元流動性があれば、たとえば急に職を失ったとしても、以下のような利点を享受できるだろう。

  • 当面の生活費をまかなえる
  • 職探しに集中できる
  • 短期間で再就職できる公算が大きくなる
  • 借金に頼らずに済む

カードローンなどで生活費をまかない始めると、高い利息によりさらに手元流動性を悪化させる。負のスパイラルに陥らないためにも、必要な手元流動性を確保しておくことが大切だ。

ホリカワ
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私も、コロナ禍で手元流動性の大切さを痛感しました。

では、どの程度の手元流動性を確保しておけばいいのだろうか?―― あくまで人によるが、目安は《必要な生活費の3~12か月》だ。

必要な手元流動性は、年齢の影響を受けやすい。たとえば突然、失業したり病気になったりしたとき、年齢が若い方ほど立て直しの時間が短くて済むだろう。

なお、流動性資金が多すぎる方は、資産を有効活用できていない可能性がある。

手元流動性の減少がもたらす家計のリスクとは?

繰り上げ返済に利用した資金は、もう手元に戻せない。

繰り上げ返済は、資産の一部を《現預金》から《不動産》に振る行為だ。手元流動性を減少させてしまう。現預金をすべて繰り上げ返済に突っ込むのは、得策とは言えない。

では、手元流動性がなくなると、具体的にどんなリスクがあるのだろうか?―― 繰り返しになるが、手元流動性がなくなると突然の収入激減に耐えられなくなる。

たとえば、こんなときだ。

  • 転職・独立
  • 失業・解雇・倒産
  • 病気・ケガ
  • 自然災害
  • 家族の介護

手元流動性が低い方は、収入が途絶えると、ローンに頼らざるを得なくなることもあるだろう。

しかし、生活資金をローンでまかない始めると、高金利による利息の支払いで、さらに手元流動性を低下させる悪循環に陥ってしまう。

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ローンが使えるならまだよくて、借りられない場合は生活が立ちゆかなくなります。

急に、大きな資金が必要になる可能性もある。車の買い換え費や子どもの進学費、緊急性の高い家の修繕費などだ。

手元に資金がなければ、これらイベントは、諦めるかローンに頼ることになる。しかし、カーローンや教育ローン、あるいはリフォームローンはどれも住宅ローンより金利が高い。

同じ借金なら、住宅ローンのほうがお得なのだ。だから、このような事態の備えがなくなるほどに、繰り上げ返済で手元流動性を下げてしまうのは得策ではない。

手元流動性を維持しながら、繰り上げ返済資金をためる方法

手元流動性を維持しながら、繰り上げ返済の資金をためる方法はないのだろうか?―― いくつか、繰り上げ返済資金をためるのに役立つアクションをあげてみよう。

借り換え住宅ローンの金利が市場金利よりも高い場合は、より条件のよいローンへの借り換えを検討。
ローンの返済クレジットカードのリボや分割払いなど、高利の借入を優先して返済し、利息負担を減らす。
固定費の削減通信費や保険、あるいはサブスクリプション等の定期的な支出を見直し、減額を図る。
収入源を追加週末や空いた時間に副業をおこない、追加の収入を得る。必要に応じて専門的なスキルを取得。
自動積立目標金額を設定して、毎月の収入から一定額を、自動で別の貯蓄口座に積み立てる。

お金を増やすには、まず支出を減らす方法がある。相対的に簡単で、即効性のある方法だ。ただし、この方法には限界があり、心への負担も大きい。この方法だけに頼るのは、おすすめしない。

もうひとつの方法は、収入を増やすことだ。昨今、容易に副業を実施できるようになってきた。もしも、本気で手元流動性を維持しながら繰り上げ返済をしたいのなら、挑戦してみてはどうだろうか。

最後に、自動で積立てできるようにしておくことが大切だ。繰り上げ返済の資金を生活用の財布から抜き、残ったお金で日常をやり繰りすることで、徐々に資金がたまっていくだろう。

住宅ローンを繰り上げ返済する?しない?判断基準はこれ

繰り上げ返済を実行するかどうか判断する際、何を基準にすればいいだろうか?

判断基準をご紹介しよう。

安全な繰り上げ返済の条件とは?

繰り上げ返済をするなら、適切な量の手元流動性を確保しておく以外に、以下のような条件を揃えておきたい。

  • 安定した収入源がある
  • じゅうぶんな生活資金が確保されている
  • 数年以内に、大きな資金が必要になる可能性がほぼない

順番に解説しよう。

安定した収入源がある

住宅ローンの繰り上げ返済を検討するうえで、重要な条件のひとつが《安定した収入源》の存在だ。たとえば、正社員としての給与や長年安定している事業所得などがこれに当たる。

将来にわたって継続的に得られる見込みのある収入源がない場合は、約定どおりの返済額にとどめ、先に手元流動性を高めることに集中するほうがよいだろう。

じゅうぶんな生活資金が確保されている

繰り上げ返済を安全におこなうためには、予期せぬ出費や緊急時に備えた貯蓄以外に、日々の生活資金をしっかりと確保しておく必要がある。

一般的に、少なくとも3~6か月分の生活費に相当する金額を、すぐに引き出せる形で準備しておくことが推奨される。生活資金に余裕があれば、繰り上げ返済後も安定した生活を維持できる。

数年以内に、大きな資金が必要になる可能性がほぼない

繰り返しになるが、近い将来に大きな出費の予定がないことも、安全な繰り上げ返済にとって《十分条件》と言えるだろう。

数年以内に多額の資金を必要とする可能性が低いことを、確認しておきたい。たとえば、車の買い換え費や子どもの教育費、家の大規模なリフォーム資金などだ。

これらの大きな支出が予想される場合、その費用を積み立てていないのなら、繰り上げ返済よりそちらに資金を充てるほうが賢明だ。高利のローンを利用せずに済む。

繰り上げ返済に向いていない人の条件とは?

住宅ローンの繰り上げ返済は、多くの人にとって魅力的な選択肢である。しかし、すべての人に適しているわけではない。

《繰り上げ返済にむいていない人》の条件もあげておこう。先述の「安全な繰り上げ返済の条件」の裏返しとなる。

手元流動性を高めておきたい人

安定した収入源がない人や近い将来に大きな出費が予想される人、じゅうぶんな貯蓄がない人は、繰り上げ返済より先に収入減や急な出費に備えるべきだろう。

緊急時の資金や数か月分の生活費を確保できていない状態で、余剰資金を全て繰り上げ返済に充てるのは危険だ。

資金を別の使途に振り分けたほうがいい人

他の高金利のローンを抱えている人は、繰り上げ返済よりそちらの返済を優先すべきだ。団信や住宅ローン減税を最大限に活用したい人も、繰り上げ返済を実行した場合と比較しながら検討したい。

投資により、住宅ローンの金利よりも高い利回りで運用できる人は、繰り上げ返済が最適な選択ではないかもしれない。資金を投資に回すことで、繰り上げ返済より大きな利益を得られる可能性がある。

「私は繰り上げ返済に向かないかもしれない」と感じている方は、こちらの記事もあわせてご覧いただきたい。繰り上げ返済の短所について、より広範囲の解説をしている。

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さて、日銀がマイナス金利政策を解除した。この金利政策の変更が、住宅ローンにどう影響するのだろうか?

繰り上げ返済は控えるべきだろうか?それとも、積極的に実行するべきだろうか?

金利政策の変更が、住宅ローンにどう影響するのか

長年、住宅ローンは安定した低金利が続いていた。しかし、日銀がマイナス金利政策を解除したことで、今後は金利の上昇局面を迎えるのではないかと見られている。

日銀の長期金利政策の影響を受けやすい《固定金利》は、すでに上昇傾向にある。一方、短期金利政策の影響を受ける《変動金利》は、現状では据え置いている銀行が多い印象だ。

変動金利の動向は、今後の日銀の短期金利政策しだいということになる。当面は緩和的(利上げに慎重)な姿勢を維持するとしているが、物価や賃金、為替の動向しだいで早期の利上げもあり得る。

このような状況下では、金利上昇リスクに備えることが重要だ。とくに変動金利型を選んでいる方は、即座に繰り上げ返済をおこなわなくても、将来のために必要な資金を確保しておくべきである。

しばらく、インフレも続きそうだ。インフレ下では、一般的に賃金が上昇する傾向にある。しっかり自己投資をおこない、金利の上昇以上に所得を上げていきたい。

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そうすれば、返済に困ることはないでしょう。

金利が上昇局面に入りそうなときの対応策

変動金利型を選択している方は「固定金利型に変更しようかな?」と悩まれているのではないだろうか?

しかし、現在の固定金利は変動金利の約3~4倍で、金利差が1.5%程度ある。つまり、固定金利に変更すると、翌月から利息が3~4倍になるということだ。残返済期間が短いなら、良策とは言えない。

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元金の減り方も、緩慢になります。

それならば、変動金利のまま返済を進め、ときに繰り上げ返済を活用して早く元金を減らすほうがよい場合もある。必ず、シミュレーションして納得してから金利タイプを変更するべきだ。

一方、金利が上昇局面に入りそうなときは、借り換えを検討するのによいタイミングだ。借り換えは実行前後の金利差が大きいほどメリットがあるため、金利が上昇し出すと不利になるのだ。

この機会に、今ならどの程度借り換えメリットが出るのか試算しておくとよいだろう。借り換えについては、以下の記事もおすすめだ。ご興味がある方は、あわせてご覧いただきたい。

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まとめ:住宅ローンを繰り上げ返済してはいけない大きな理由とは

さいごに、本稿のおさらいをしておこう。

住宅ローンを繰り上げ返済してはいけない大きな理由は?

いろいろ理由はあるが、大きな理由と言えば「手元流動性の低下」だろう。繰り上げ返済することで、急な出費や収入激減に耐えられなくなるのは避けたい。詳しくはこちらをご覧いただきたい。

住宅ローンを繰り上げ返済してはいけない大きな理由

繰り上げ返済に向いていない人の特徴は?

安定した収入源がない人や近い将来に大きな出費が予想される人、じゅうぶんな貯蓄がない人には繰り上げ返済をおすすめしない。先に手元流動性を高めよう。詳しくはこちらをご覧いただきたい。

住宅ローンを繰り上げ返済する?しない?判断基準はこれ

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ホリカワ ダット

主に住宅分野を専門とするブロガー・SEOライター。インテリアコーディネーター1級カラーコディネーター (商品色彩) の資格保有。ランサーズ認定・不動産ライタースペシャリスト。「家探し」や「家づくり」のノウハウを、わかりやすく解説します。

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