楽天モバイルには「データ高速モード」なるものがある。いったい、これはどういうモードなのか。どんなふうに使えばいいのか?利用に際して注意点はないのか?
じつは、国内では基本的に「データ高速モード」になっている。だから、とくに使い方や注意点を気にすることなく、ベーシックなモードとして使えばいい。問題は、海外だ。
本稿では、楽天モバイルの「データ高速モード」の特徴や使い方、注意点について解説する。海外渡航をご検討中の方は、ぜひ最後までご覧いただきたい。
楽天モバイル最強プランのデータ高速モードとは
データ高速モードとは、データを高速で送受信できるモードのこと。海外ローミングエリアで利用できる。海外滞在中に以下を利用するなら、必須のモードだ。
- ゲーム
- ビデオ通話
- 音楽・動画再生
- Webサイトの閲覧
- SNS(写真系や動画系)
ちなみに、日本国内では全国の通信エリアで「高速データ通信」を無制限で利用できる。だから「データ高速モード」の概念がない (詳しくは後述)。
データ高速モードの特徴
海外ローミングエリアでは、毎月2GBまでデータ高速モードを利用できる。月内に2GBの高速データ容量をすべて消費してしまうと、以降は通信速度が低速になる (毎月1日の0:00にリセットされる)。
低速モードになると、通信速度は最大でも128kbpsしか出ない (詳しくは後述)。この通信速度で満足に送受信できるのは、テキストメッセージくらいだろう。
なお、国内の通信エリアは「データ高速モード」の概念がない。厳密に言うと、以前(Rakuten UN-LIMIT VII)まではあったが、現行の「Rakuten最強プラン」からはなくなっている。
以前の「Rakuten UN-LIMIT VII」プラン
「Rakuten UN-LIMIT VII」プランは、ローミングエリア(パートナー回線エリア)内でデータ高速モードを使用する際、「月5GBまで」に制限されていた。制限を超えると、低速モードになる。
ローミングとは、契約している通信事業者のサービスエリア外でも、他の事業者の設備を利用して通信できるようにする仕組みのこと。楽天モバイルの場合は、auの電波を利用させてもらっている。
現行の「Rakuten最強プラン」
2023年6月1日から「Rakuten最強プラン」に変わり、国内ではローミングエリアでも高速データ通信を無制限で利用できるようになった (ただし、公平なサービス提供のため速度を制御する場合がある)。
「Rakuten UN-LIMIT VII」の契約者は、「Rakuten最強プラン」の提供開始にあわせて自動的に移行処理されている。
データ高速モードの提供エリア
海外のローミングエリア(海外のパートナー回線エリア)は、以下で確認できる。利用する端末(スマホ等)によって変わるので、注意が必要だ。
ちなみに、Rakuten最強プランの国内通信エリアは、楽天回線エリア(楽天基地局の電波を利用)とローミングエリア(au基地局の電波を利用)を合わせたものとなっている。
楽天モバイルの公式サイトで「人口カバー率99.9% (2023年6月時点)」とうたっているので、多くのエリアで高速通信を無制限で利用できると考えられる。
データ高速モードの通信速度
海外のローミングエリアで、楽天モバイルの通信速度はどうなっているのだろうか?ちゃんと、ストレスなく使えるのだろうか?
楽天モバイルのデータ高速モードは「ベストエフォート方式」を採用しているので、パフォーマンスは環境と状況により変化する。都度、確認するしかないだろう。
ベストエフォート方式では、回線業者は通信速度を保証していない。以下のような条件によって、基地局と携帯端末がおこなう通信の品質が左右されるからだ。
- 基地局までの距離や途中の障害物
- ネットワーク回線の混み具合
基地局とは、携帯端末と直接電波のやり取りをする場所のこと。鉄塔タイプやビル屋上設置タイプ、地下やビルなどの屋内設置タイプなどがある。
基地局と携帯端末の通信品質は、自分で確かめるしかない。しかし、SNS等の口コミが、多少は参考になるだろう。
いくつか探してみたので、ご紹介しよう。
アメリカ
NY滞在中は楽天モバイルの海外ローミングてした。ツイッターやってgoogleマップみるのなら速度は全く問題なかったですね。ほぼ丸2日で0.5GB使用。4,5日の旅行なら十分かな。
出典:X(旧Twitter)
楽天モバイルの海外ローミング、5Gで接続中@エンジェルスタジアム。しかし速度はこんなもんか (受信16Mbps)。
出典:X(旧Twitter)
楽天モバイル、マサチューセッツで普通に使えてます。AT&TかT-MobileのHigh speed 3G電波がメイン。アンテナ強度は安定。速度は十分。
日本の番号から日本向け電話もSMSも問題なし。通話料無料。アメリカに来る機会が多ければお得かも。
出典:X(旧Twitter)
それにしても海外に来る前に楽天モバイルに変えてよかった。どこの国行っても即ローミングでつながるし、2Gまでタダだし、日本に電話もただでできるし最高。
ピッツバーグではたまに3Gにつながったりしてるのでそこまで早くないと思いますが、グーグルマップやちょっとした調べ事程度なら十分だと思います。
いまのところどこへいっても圏外にはならず使えてます。
出典:X(旧Twitter)
楽天モバイル、グアムでのローミング事例。7Mbpsの速度が出てれば充分実用に足るし、2Mまでは無料、容量追加は1M毎に500円だから、現地プリペイドSIMを用意する必要はないな。
出典:X(旧Twitter)
韓国
海外旅行(韓国)で楽天モバイル使ったらレポ。普通に使える。空港とか都心部から離れても使えるから便利。さすがに速度は遅いから、イライラする人はシム推奨。
2GBで、たぶん2泊3日はもつ4日いけるかも。結論、金ないやつはこれで十分だけどシムやすいからシム買ったら良い。
出典:X(旧Twitter)
今回の旅から使おうと先月楽天モバイルに変えたけど、海外では快適です。友達からは繋がりにくいと言われてたけど、たしかに釜山では若干速度遅いかな?て時はあったけどそんな気にならず。
そして、ベトナムでもサクサクです。これで2GB無料。何よりSIM買う必要無いのが快適すぎ。
出典:X(旧Twitter)
韓国ローミング、楽天モバイルでも試して見たんだけど、KTの4Gに繋がって、受信3.52Mbps・送信8.71Mbpsだった。LINEとニュース、web閲覧とメールチェックとtwitterなら十分なんだけどね。
出典:X(旧Twitter)
中国
楽天モバイル中国広東省でのローミングでの低速モード・高速モードの速度の違い。低速モード50Kbps。高速モード36Mbps。
出典:X(旧Twitter)
中国南京で、楽天モバイルの速度を測ってみた。 割とスピード出てる。これは使えそう。受信29.4Mbps、送信9.62Mbps。
出典:X(旧Twitter)
台湾
台湾なう。相変わらずPing数値が最悪な楽天モバイルMNOの海外ローミング。通信速度は現地キャリアが優秀なので早いのに応答速度が全てを台無しに。
Ping500超えてくるとVoIPアプリも通話しにくくなる。うーむ。
出典:X(旧Twitter)
楽天モバイルの海外ローミング。台湾のローミング先の遠傳電信が5Gに対応。
高雄市内で試しに速度を計測してみました。が下り293Mbps上り40.8Mbpsという結果。まずまずの速度が出ていますね。
出典:X(旧Twitter)
日本ではahamoとかの受付が始まったみたいですが…台湾は使い放題で月2000円くらい。20GBとかケチくさいこと言いません。速度も200Mbps出てる。
ちなみに僕は日本で楽天モバイル契約してきたので、無料で日本の電話番号が使えています。これおすすめ。受信202Mbps、送信22.2bps。
出典:X(旧Twitter)
タイ
楽天モバイル、タイでTH3G+につながり、速度は観光利用では実用的でした。受信8.5Mbps。
出典:X(旧Twitter)
楽天モバイルの海外ローミング、バンコクでも、ベンガルールでも普通に使える。事前に国際ローミングの設定ONする必要があると出発直前に知って焦ったけどいつの間にかONにしてた。
速度は時々遅くなるけどこんなもんかな…って感じ。地図とか見るには十分使える。
出典:X(旧Twitter)
楽天モバイルの海外ローミング、パタヤでは【DTAC】になるみたいです。ずっと機内モードにしてて、気が付きませんでした。4G回線の速度は、平均33Mbpsくらいでした。
出典:X(旧Twitter)
タイとマレーシアにて、google pixel & 楽天モバイル物理SIMでネット繋がる事を確認。
マレーシア計測、ネットは繋がるけど、速度が安定しないな。Ping1930msで受信1.02Mbps、Ping498msで受信93.08Mbps。
出典:X(旧Twitter)
海外SIMメモ。使用場所 : タイ・バンコク・2022年5月。SIM種類 : 楽天モバイル(eSIM)。プラン : Rakuten UN-LIMIT パートナー回線エリア(海外) 2GB。速度 : 下り10~24.8Mbps。
端末 : OPPO Find X3 Pro (SIMフリー CPH2173)。備考 : Orange(AIS・True・DTAC)の4G・3G回線に接続、応答速度は遅い。
出典:X(旧Twitter)
海外で楽天モバイルを利用されるご予定の方は、まず公式サイトで対応エリアを確認するといいだろう。そのあと、SNS等で「渡航先の地域名+楽天モバイル」で検索してみてはどうだろうか。
データ高速モードと低速モードの違い(通信速度や料金など)
データ高速モードと低速モードの違い(通信速度や料金など)をまとめておこう。
ちなみに「低速モード」は以下の通称であり、正式名ではない。
- 高速通信できるデータ容量(2GB)をすべて消費した状態
- 手動で「データ高速モード」をオフにした状態
データ高速モードと低速モードでは、通信速度が以下のように異なる。
高速モード | ベストエフォート |
---|---|
低速モード | 最大128kbps |
料金も、以下のように異なる。
高速モード | 2GBまで追加料金なしで利用可能 |
---|---|
低速モード | 追加料金なしで利用可能 |
追加でデータ高速モードを使いたい場合のチャージ料:500円(不課税)/1GB |
低速モードについては、以下の記事でも解説している。あわせてご覧いただきたい。
楽天モバイルの低速モードとは?メリットやデータ通信速度について
楽天モバイルには「低速モード」なるものがある。いったい、これはどういうモードなのか。どんなふうに使えばいいのか?利用に際 ...
なお、両モードとも使用すればデータの利用量が加算され、利用量が増えれば「Rakuten最強プラン」の基本使用料が上がる点は注意が必要だ。
楽天モバイル「Rakuten最強プラン」の基本使用料は、以下のとおり。
3GBまで | 980円(税別)/月 |
---|---|
3GB超過後20GBまで | 1,980円(税別)/月 |
20GB超過後 | 2,980円(税別)/月 |
また、両モードとも通話やSNSを送受信すると別途料金が発生する場合がある。料金形態はちょっと複雑で、以下の条件で変わる。
- あなたと相手がRakuten Linkアプリを使っているかどうか
- あなたと相手がどこにいるか(海外または日本)
- ご利用中のスマートフォンのOS(AndroidまたはiOS)
詳しく知りたい方は、以下の資料をご参照いただくといいだろう。
楽天モバイルのデータ高速モードを利用するメリット・デメリット
つづいて、楽天モバイルのデータ高速モードを利用するメリット・デメリットをご紹介しよう。
知っておきたいデメリット(注意点)
データ高速モードを利用する最大のデメリットは、使いすぎると低速モードになってしまうことだろう。使用量が2GBを超えると、通信速度が128Kbpsに低下する。
128Kbpsでまともにできることと言えば、テキストメッセージの送受信くらいだろう。音声通話や地図アプリ、X (旧Twitter)、低音質の音楽再生が、なんとか使えるかもしれない。
高速モードならではのメリット
高速モードのメリットは、ずばり通信が早いことだ。以下はデータ高速モードが必須と言っていいだろう。
- ゲーム
- 動画視聴
- ビデオ通話
- Webサイトの閲覧
- 音楽ストリーミング
上述のものは、低速モードではほぼ使いものにならない。
楽天モバイルのデータ高速モードへの切り替え方法
最後に、データ高速モードへの切り替え方法と、高速データ容量の残量通知の設定方法をご紹介して終わりたい。
データ高速モードの切り替え方法(海外ローミングエリア)
STEP.1
スマホの場合は「my 楽天モバイル」アプリを起動する。
Webの場合は、my 楽天モバイル「ホーム」の「高速データ容量」画面を開き「高速データ容量へ進む」をタップしてログインする。
STEP.2
「データ高速モード」をタップし、ON/OFFを切り替える。
楽天モバイルを2回線以上契約している場合は、画面上部へスクロールし、手続きを行う電話番号が表示されているか確認しておこう。
高速データ容量の残量通知の設定方法
海外ローミングエリアで利用中は、以下の場合にメール、およびSMSで通知することができる。
- 高速データ容量の残容量が400MBを下回った場合
- 高速データ容量を使い切った場合
通知をONにする設定は、以下のとおり。
STEP.1
スマホの場合は、「my 楽天モバイル」アプリを起動する。Webの場合は「my 楽天モバイル」にログインする。
STEP.2
画面右上のメニュー(3本線)をタップして「お知らせ設定」をタップする。
STEP.3
「通信容量の残容量通知メール」をONにして「変更する (保存する)」をタップする。
なお、通知は設定を「OFF」から「ON」に切り替えた翌月より反映される。海外渡航される方は、前月までに設定しておこう。
まとめ:楽天モバイルのデータ高速モードとは
さいごに、本稿のおさらいをしておこう。
データ高速モードとは?
データ高速モードとは、データを高速で送受信できるモードのこと。海外ローミングエリアで利用できる (日本国内では全国の通信エリアで「高速データ通信」を無制限で利用可能)。詳しくはこちら。
データ高速モードのデメリットは?
データ高速モードのデメリットは、使いすぎると低速モードになってしまうことだろう。使用量が2GBを超えると、通信速度が128Kbpsに低下してしまう。詳しくは、こちらをご覧いただきたい。