楽天モバイルの評判や口コミを探していると「iPhoneが使えない」あるいは「iPhoneは使えなくなる」といった書き込みを見かける。本当に、そんなことがあるのだろうか?
以前の楽天モバイルは、iPhoneの「XR」以降の機種しか対応していなかったようだ。しかし、現在は対応機種を拡大していて「6s」以降なら利用可能だ。使えなくなる、という話もない。
本稿では「楽天モバイルはiPhoneが使えない」と言われる理由や、対処法について詳しく解説する。Android端末では使えてiPhoneでは使えない機能もご紹介するので、参考になれば幸いだ。
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楽天モバイルでiPhoneが使えない理由と対処法(ご利用前)
さっそく、楽天モバイルで「iPhoneが使えない」と言われる理由や対処法をご紹介しよう。先述のとおり、楽天モバイルでiPhoneは利用可能だ。ただし、使えない機種がある。
まず「6s」あるいはiOSが「14.4」より古い機種は使えない。また、他社で利用していたiPhoneを利用する場合は、SIMロックの解除とAPN構成プロファイルの削除が必要になるケースがある。
詳しく説明しよう。
機種やiOSが古すぎる(iPhone 6s・iOS14.4より前の機種)
2021年4月以前の楽天モバイルでは、iPhoneは「XR」以降の機種しか利用できなかったようだ。
しかし、2021年4月27日より始まったキャリア設定のアップデートにより、対応機種が拡大された。現在は「6s」以降のiPhoneなら楽天回線を利用できるようになっている。
なお、楽天モバイルでiPhoneを利用する場合は、iOSを14.4以降のものに更新しておく必要がある。
つまり現在は、以下の条件をすべて満たすiPhoneは楽天回線で利用可能、ということだ。
- iPhone 6s以降の機種
- iOS14.4以降を搭載している
- キャリア設定のアップデートを実施済み
キャリア設定のアップデートが未完了のiPhoneは、設定アプリで「一般 > 情報」の順に進むとキャリア設定のポップアップウインドウが表示される。
[アップデート]をタップするとアップデートが開始されるので、必ず完了させておこう。
ちなみに、お手持ちのスマホが楽天モバイルで使えるかどうか簡単に確認する方法がある。詳しくは、以下のページをご覧いただきたい。
上述の対応状況確認をおこない、対応外だった場合は、対応機種に買い直すしかないだろう。
SIMロック解除やAPN構成プロファイルの削除ができていない
他社で利用していたiPhoneを楽天モバイルで再利用する場合、SIMロックを解除しておく必要がある。
SIMロックが解除されているかどうかの確認は、以下の方法でできる。
STEP.1
ホーム画面の[設定]から[一般]をタップ
STEP.2
[情報]をタップ
STEP.3
ページ中部の[SIMロック]欄を確認する
SIMロックの欄に「SIM ロックなし」と表示されている場合は、SIMロックが解除されている。
なお、SIMロックを解除したい場合は、これまで利用してきた携帯電話会社に確認する必要がある。まず、ホームページをチェックしてみるとよいだろう。
これまで利用してきた携帯電話会社の「APN構成プロファイル」が残っているiPhoneも、要注意だ。楽天モバイルで使えないケースがある。
APN構成プロファイルの意味や特徴については、ワイモバイルの解説がわかりやすいので引用しておこう。
APNというのは「アクセスポイントネーム」の略で、アクセスポイントは携帯電話網からインターネットへ接続する際の中継地点(ゲートウェイ)の役割を果たすものです。
携帯電話会社ごとにインターネットに接続できる中継地点は異なるため、その中継地点をスマホに教えこむための設定がAPN設定です。
docomo・au・SoftBank以外でiPhoneを利用していた場合、楽天モバイルのSIMカードをセットする前に古いAPN構成プロファイルの削除操作が必要だ。
たとえば、旧楽天モバイル(ドコモ回線・au回線)やUQモバイル、ワイモバイル、mineo、IIJmio、その他格安SIMなどでiPhoneを利用していた方は、以下の操作をおこなっていただきたい。
STEP.1
設定アプリを起動する
STEP.2
[一般]をタップする
STEP.3
[プロファイル]または[プロファイルとデバイス管理]または[VPNとデバイス管理]をタップ
STEP.4
削除したい構成プロファイルをタップ
STEP.5
[プロファイルを削除]をタップ
STEP.6
パスコードを入力
なお、初期設定が完了したあとSIMを挿入すると「キャリア設定アップデート」のポップアップが表示されることがある。アップデートを実行すると、楽天モバイルのAPNが自動で設定される。
楽天モバイルでiPhoneが使えなくなる理由と対処法(ご利用中)
楽天回線エリア内であっても遅い、あるいはつながらないことがある。ただし、iPhoneに限った話ではなく、Android端末でも同様の状態になる。
なぜ、楽天回線エリア内で遅い・つながらない状態になるのか?その原因は、電波の性質を知ると見えてくる。電波には、以下の特徴があるのだ。
- 直進しながら弱くなる(減衰)
- 金属やコンクリートなどにあたって跳ね返る(反射)
- 紙や木、ガラスは減衰しながら通り抜ける(透過)
- 周波数が低い電波は障害物を回り込む(回析)
- 電波同士でけんかする(干渉)
電波が上述のような性質を持っているため、楽天回線エリア内であってもスマホが使えなくなることがる。
もう少し詳しく解説しよう。
障害物の影響、または屋内にいるため圏外になる
楽天回線の電波は、障害物に弱い。屋内や地下、あるいはビルの谷間に入ると、さっぱり送受信ができなくなる場所が少なくない。
このような現象は、電波の以下の性質が原因で起こる。
- 金属やコンクリートなどにあたって跳ね返る(反射)
- 一部の素材は通り抜けられるが (透過)、通り抜けるたびに弱くなる
だから、鉄筋コンクリートのビルの中や家の奥まった場所では、電波がつながりづらくなるのだ。とりわけ、楽天回線は障害物に弱い。なぜか?
キャリア御三家は、総務省から複数の電波帯域の使用許可を得ている。一方、これまでの楽天モバイルが許可されていたのは、高い周波数帯だけだった。
周波数帯が高い電波には、以下の特徴がある。
- 直進性が強くなる
- 障害物に弱くなる(回り込みにくくなる)
- 電波到達距離が短くなる
上述の特徴から、楽天回線は障害物が多いところでは品質低下が起こりやすいのだ。
とは言え、楽天モバイルも2023年10月にプラチナバンドの利用許可を受けた。今後、プラチナバンド帯の電波が発射されると、少しはこの状況が改善されるだろう。
プラチナバンドとは
また、基地局からの電波は携帯電話に届くのに、携帯電話からの電波が基地局に届かない(受信できるのに発信できない)こともある。たとえば、こんな感じだ。
- 電話に出たら切れてしまった
- 相手の声は聞こえるのに、こちらの声が届かない
この現象は、携帯電話から出ている電波と基地局から出ている電波の強さが違うから起こる。携帯端末より基地局のほうが、出力の大きい電波を出せるのだ。
いずれの場合も、建物から出てみる、あるいは窓際に寄ってみることで解決する場合がある。
ちなみに、多くの遮熱・断熱ガラス(Low-eガラス)の窓は電波を跳ね返す。薄く金属が塗布されているからだ。
輻輳 (ふくそう)・パケ詰まりを起こしている
人口密集地でたくさんの人が同時にデータの送受信をおこなうと、通信できなくなることがある。なぜか?
通信事業者(キャリア)は、それぞれ総務省から許可された周波数帯(バンド)の電波を利用している。周波数帯は電波の通り道。言い換えるとデータの通り道のようなものだ。
周波数帯には以下の特徴がある。
- 帯域が広いほど、大量のデータを送れる
- 大人数が同時に利用すると、渋滞して遅くなる
この渋滞のことを「輻輳」と言いう。輻輳が発生すると、通話が繋がりにくくなったりネット回線が遅くなったりする。
ちなみに、楽天モバイルでは2022年9月4日にソフトウェアの不具合から輻輳が発生している。
輻輳は通信事業者側の問題であり、ユーザーにできる解決策は限られる。ユーザー側ができることは、シンプルに以下の行動を取るくらいだろう。
- 輻輳が解消されるのを待つ
- 混雑していないエリアへ移動する
通信システムの「5G」と「4G」の両方を使える地域なら、ネットワークの切り替えも試してみたい。以下の操作で、切り替え可能だ。
iOS | 設定 > モバイル通信 > SIM > 音声通信とデータ |
---|---|
Android | 設定 > ネットワークとインターネット > SIM > 優先ネットワークの種類 |
なお、Androidはバッテリーセーバーをオフにしておく必要がある。バッテリー セーバーをオンにすると、5G利用可能エリアにいても4Gでデータ通信をおこなう場合があるのだ。
デュアルSIMをご利用の方なら、もう一方の回線で通信できないか試してみるのもよいだろう。
通信障害が発生している
楽天回線エリアなのに遅い、あるいはつながらないとき、通信障害が発生している場合がある。公式サイトの「障害情報」をご確認いただきたい。
携帯電話の電波は、雨や霧に当たり減衰する。だから、大雨や台風の日は通信障害が発生しやすい。とりわけ、5Gエリアの一部で利用している「ミリ波」と呼ばれる電波は、雨に弱い。
通信障害については、障害が解消するのを待つしかないだろう。一度、スマホを再起動してみるのもよいかもしれない。機種本体の不具合によって通信障害が発生している場合に、有効だろう。
また、電波同士がけんか(干渉)する場合もある。例えば以下の場所では、電波が反射したりいろいろな方向から飛んできたりして、ぶつかり合い不安定になるのだ。
- ビルが密集している場所
- 金属やコンクリートの壁に囲まれている場所
- 見通しのよい場所
- 変電所等の強電設備の近く
通信が安定しないな、と感じたらそれは「干渉」が原因かもしれない。少し移動して様子を見てみよう。
楽天モバイルがつながらない他の原因や対処法については、こちらの記事で解説している。興味がある方は、あわせてご覧いただきたい。
楽天モバイルの回線エリアなのに繋がらない!? 理由と対処法を紹介
楽天エリアの回線エリアマップを見るとサービス圏内のはずなのに、なぜかつながらない体験をしたことがないだろうか?もしくは、 ...
楽天モバイルでiPhoneを使ってみて分かった!5つの注意点
最後に、楽天モバイルでiPhoneを使ってみて分かった「5つの注意点」をご紹介しておこう。
じつは、Android端末なら使えるのに、iPhoneは使えない機能がある。この機能に着目して「iPhoneは使えない」と感じる方もおられるだろう。
おもな違いを紹介しておく。
- 電話の着信時にOS標準の電話アプリで着信してしまう
- 楽天リンクアプリでSMSの送受信ができない
- 楽天リンクアプリのビデオ通話機能がない
- 海外渡航中に電話を受けると、通話料がかかる
- データ通信量の通知・制限機能がない
Android端末には、上述の制限がない。たしかに、ここだけ見ればiPhoneのほうが不便だ。しかし、あらかじめ理解しておけば何てことない。スマホとしては支障なく使えるだろう。
各項目について、詳しく解説しておこう。
電話の着信時にOS標準の電話アプリで着信してしまう
iPhoneで電話を着信する際、相手が楽天リンクで発信してきた場合を除き、iOS標準の電話アプリが起動する。楽天Linkで着信できないのだ。
一方、Android版の楽天リンクアプリは、ログインしていれば着信可能だ。
では、iOS標準の電話アプリで着信すると何が困るのだろうか?
たとえば、折り返し電話するときに困る。うっかり、iOS標準の電話アプリの着信履歴から折り返し発信してしまうと、通話料がかかってしまうのだ (税込22円/30秒)。
これを防ぐには、以下のような面倒な操作をおこなう必要がある。
- 着信履歴の[i]マークをタップ
- [発信]をタップ
- [>Link]をタップ
海外渡航中に着信したときにも、困ることになる。海外のパートーナーエリアでローミング中は、OS標準の電話アプリで着信すると、通話料金がかかってしまうのだ (詳しくは後述)。
この課金をなくすには、電話取らずに相手が切るのを待ち、そのあと自分から楽天リンクでかけ直す必要がある。そうすれば、相手が日本の電話番号であれば無料で通話できる。
楽天リンク(Rakuten Link)アプリでSMSの送受信ができない
iPhoneは、相手が楽天リンクを使っていない場合、iOS標準のメッセージアプリを使ってSMSの送受信をおこなう必要がある。
iOS標準のメッセージアプリを使ってSMSの送受信をおこなう場合、受信は無料だが、送信には以下の費用がかかる。
日本から日本の電話番号へ | 3.3円(税込)/70文字(全角) |
---|---|
日本から海外の電話番号へ | 100円(不課税)/70文字(全角) |
海外から日本の電話番号へ | 100円(不課税)/70文字(全角) |
海外から海外の電話番号へ | 100円(不課税)/70文字(全角) |
昨今、SMSアプリを使ってメッセージを送信する機会は減ってはいる。しかし、一応注意が必要だろう。
楽天リンク(Rakuten Link)アプリのビデオ通話機能がない
Android版の楽天リンクには、ビデオ通話機能がある。一方、iOS版にはない。
楽天リンクを使ったビデオ通話は、音声通話と同じく無料で使える便利機能だ。しかも、データ通信量にカウントされない。
iPhoneでビデオ通話をおこなう場合は、FaceTimeやLINE、あるいはZoomなどのアプリを利用する必要がある。
これらのアプリを使うとテータ通信量にカウントされるので、使いすぎると基本料金が上がってしまう。だから、Wi-Fi環境がないと使いづらいだろう。
海外渡航中に電話を受けると、通話料がかかる
先述のとおり、海外渡航中に楽天リンクで通話やメッセージを受信した場合、Android端末は費用がかからない。だから、突然日本から電話がかかってきても、気兼ねなく通話できる。
一方、iPhoneは料金がかかってしまう。楽天リンクで受信できないため、OS標準の電話アプリで受信することになるからだ。
ただし、相手も楽天リンクを利用している場合は、iPhoneでも楽天リンクで受信できるため、無料で通話やメッセージを利用できる。
ちなみに、海外渡航中に発信する場合は、iPhoneもAndroid端末も同条件だ。
相手が楽天リンクを利用している場合は、通話もメッセージも無料。相手が楽天リンクを利用していない場合は、海外の電話番号にかけるときのみ料金がかかる。
まとめると、楽天リンクのユーザー同士なら通話もメッセージも無料。相手が楽天Linkを使っていない場合は以下のようになる、ということだ。
受信/送信 | iOS(iPhone) | Android |
---|---|---|
受信 | 国・地域別従量課金 | 楽天リンクで受信すれば無料 |
発信 |
|
なお、楽天リンクが利用できない国や地域もある。そのような国や地域に関しては、Wi-Fi接続中のみ発着信できる。
データ通信量の通知・制限機能がない
楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」は、3GBを超えると基本料金が1100円(税込、2024年1月現在)アップする。だから「できれば3GB未満に抑えたい」と考えている方が多いだろう。
そうなると、一定量のデータ通信を使用したときに通知してくれたり、3GBに達する直前で制限をかけたりしてくれる機能があるとうれしいだろう。
しかし、残念ながら楽天モバイルには、データ通信量の通知機能や制限機能がない。iPhoneにもないので、定期的に「my楽天モバイル」アプリを開いて、使用したデータ通信量を確認する必要がある。
詳しくは、以下の記事をご覧いただきたい。
楽天モバイル(iPhone)を3ギガで止める方法がない!? 対策と節約術
楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」は、データ通信量が3GBを超えると1,100円アップする。だから「何とかして楽 ...
一方、Androidにはデータ通信量の通知機能や制限機能がある。よって、iPhoneより、データ通信量を3GBで止めるのが簡単だろう。
まとめ:楽天モバイルでiPhoneが使えない理由をチェックしておこう
さいごに、本稿のおさらいをしておこう。
楽天モバイルでiPhoneが使えない?
6s以降の機種でiOSが「14.4」より新しければ、使える。SIMロックが解除されていなかったり、古いAPN構成プロファイルが残っていると使えない場合がある。詳しくはこちらをご覧いただきたい。
楽天モバイルでiPhoneが使えなくなる?
iPhoneユーザーは多い。iPhoneが使えなくなるということは、ないだろう。ただし、使用中にさまざまな理由からつながらなくなることがある。詳しくはこちらをご覧いただきたい。